家族依存のパラドクス―オープン・カウンセリングの現場から (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 家族依存のパラドクス―オープン・カウンセリングの現場から (新潮文庫) |
発売日 | 2012-04-27 |
製作者 | 斎藤 学 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101442235 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門 |
購入者の感想
『家族パラドクス』を改題し文庫化した本。著者の本を読むのはこれが初めてだが、おそらくフロイト精神分析をバックボーンとして、依存症、摂食障害、自傷行為、ひきこもり、等の様々な問題を、家族関係のあり方から理解し対処していこう、という人だと思う。
何気なく手に取った本書、「はじめに」「あとがき」「文庫版あとがき」だけを先に読んで「これは!」と目を瞠った。ただし、私にとっては「あとがき」「文庫版あとがき」の方が本文よりも面白く、著者の考え自体を述べている他の本も読んでみなければと思う。
本書は、著者が行っている「オープン・カウンセリング」での著者と相談者とのやりとりを収録したもの。「オープン・カウンセリング」とは、聴衆の前で相談者が個人的な悩みについて語り、著者が質問を発し問答を繰り返していく、という試み。12人分の問答が収められており、「ケース・スタディの一部」としても読めるかもしれない。各問答の後には「ケースのみかた」という解説が付されている。
問答は「父」「母」「娘と息子」「自分」のテーマ別に並べられている。1人分の量は短めで、専門用語もあまり出てこないため、読もうと思えばすぐに読める。ややもの足りなくも思った。
本書に収められた問答の中に示されているのは、相談者の「人間関係のあり方」や自己に関する「物語」に変化を起こそうとして著者が用いる「治療的レトレック」の数々。ここ、少し注意が必要で、著者が相談者に向かって言っていることを読者は文字通りに受け取らない方がいい。著者は相談者の関心の「焦点をズラす」ために、しばしば虚言を弄する(本人が問題に注目し過ぎることが問題を一層悪化させてしまうことはよくある)。この辺りの「ズラしのテクニック」は、精神科医やカウンセラーといった同業者が読んだ方が著者の「名人芸」を堪能できるのではないかと思う。
何気なく手に取った本書、「はじめに」「あとがき」「文庫版あとがき」だけを先に読んで「これは!」と目を瞠った。ただし、私にとっては「あとがき」「文庫版あとがき」の方が本文よりも面白く、著者の考え自体を述べている他の本も読んでみなければと思う。
本書は、著者が行っている「オープン・カウンセリング」での著者と相談者とのやりとりを収録したもの。「オープン・カウンセリング」とは、聴衆の前で相談者が個人的な悩みについて語り、著者が質問を発し問答を繰り返していく、という試み。12人分の問答が収められており、「ケース・スタディの一部」としても読めるかもしれない。各問答の後には「ケースのみかた」という解説が付されている。
問答は「父」「母」「娘と息子」「自分」のテーマ別に並べられている。1人分の量は短めで、専門用語もあまり出てこないため、読もうと思えばすぐに読める。ややもの足りなくも思った。
本書に収められた問答の中に示されているのは、相談者の「人間関係のあり方」や自己に関する「物語」に変化を起こそうとして著者が用いる「治療的レトレック」の数々。ここ、少し注意が必要で、著者が相談者に向かって言っていることを読者は文字通りに受け取らない方がいい。著者は相談者の関心の「焦点をズラす」ために、しばしば虚言を弄する(本人が問題に注目し過ぎることが問題を一層悪化させてしまうことはよくある)。この辺りの「ズラしのテクニック」は、精神科医やカウンセラーといった同業者が読んだ方が著者の「名人芸」を堪能できるのではないかと思う。