中国民話集 (岩波文庫 赤39-1) の感想

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参照データ

タイトル中国民話集 (岩波文庫 赤39-1)
発売日販売日未定
販売元岩波書店
JANコード9784003203910
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 伝承・神話

購入者の感想

 解説によると、長くなる「鼻」は、「中国の昔話にはよく出てくるモチーフである」、という。
 収録されているもので言えば、「雲から落ちた刺繍靴」、「小さいドラ」がこれに該当する。芥川龍之介「鼻」に登場する内供も、こういう話を読んでいれば、あるいは、多少の慰めにはなったかもしれない。
 「小さいドラ」の一節。長い鼻をもとに戻すべく、どんどんドラをたたき続ける。「鼻よ縮め、鼻よ縮め」と口では言いながら。たたき続け、言い続けた。その結末が、ものすごい。どう、ものすごいか、それは、本書を手にとってご確認いただくことにする。

 もともとは仲がよかったのに、あるとき、仲たがいをしてしまい、いまにいたってもなお、仲が悪い。そんなモチーフも、よく出てくるらしい。
 なんだか、こういうモチーフには、仲たがいなどせず、いつまでも仲良くできたらいいものを、という古人の嘆息が秘められているような気がしないでもない。
 「仲たがいをした犬と猫」、「十二支の由来」(猫とネズミ、ニワトリと竜)、「猫と虎とネズミ」がこれに該当する。
 
 「人を食う蚊」は、おどろきだ。タイトルそのままだが、なんでこんな話が生まれたのか。まあ、確かに、蚊に血を吸われることを、蚊に食われる、と言わなくもないが。しかし、……

 着ている服を交換することで、身分も交換してしまい、自分の身を助ける、というモチーフもあるらしい。「羽根の衣を着た男」(皇帝と農夫とが服を交換し、農夫は助かる)と「エンマ様をぶち殺した農夫」(エンマ様と農夫とが服を交換し、農夫は助かる)がこれに該当する。
 服を交換しただけで、そんなに話がうまくいくのかい、と首を傾げたくなるが、しかし、それほど人は、偉い人のことをよくは見ていない、見ているつもりでも、見ることはできていない、ということなのだろう。

 「魚売りと仙人」。冒頭、乞食に身をやつした仙人の集団、その最後尾の仙人を魚売りが引きとめるくだりは、因幡の白兎と大国主命の話を連想させなくもない。

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