あおざくら 防衛大学校物語 (9) (少年サンデーコミックス) の感想

　９巻では「棒倒し」の紹介を軸にライバルとの協力のあり方や諜報活動を取り上げています。この「あおざくら」シリーズで展開される世界はリアリティの描写が目的ではなく、若者は何を学ぶべきか、という問いに対する回答をひとつの理想像として描いたものだろう、リアリティをどう受け入れるかという課題なのだろうと思います。

　今回の巻末インタビューでは、必要十分な言葉でそのことが述べられていました。「私は今まで共に勤務した部下を含め、関係した多くの人達に育ててもらったなという想いが強くあります」という所感は「、、、努力し続ければ、結果を出せば、必ず誰かが見ていてくれる、必ず誰かが認めてくれる。」という言葉に続いてゆきます。

　実際にはそう世の中は甘くないという見方もあるでしょうが、これは信念の問題、つまり人生の目標が何かということなので、いついつまでにしかるべき結果が出てくるというものではありません。試験でよい成績を取って勝ち続ける木を見て森を見ないパラダイムだけに慣らされてしまった受験秀才にはなかなかできない大局的な洞察のことで、本シリーズでしばしば取りあげています。