山女日記 の感想

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参照データ

タイトル山女日記
発売日販売日未定
製作者湊 かなえ
販売元幻冬舎
JANコード9784344026018
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

湊かなえさん作でタイトルが「山女日記」なら、「一緒に登山した女性たちの中の1人が事件に巻き込まれ、残った人間は罪悪感と猜疑心にさいなまれ、やがて狂気に」といったサスペンス風の話かと思いきや、本作では恐ろしい事件は何も起こりません。

恋愛や結婚や人間関係や仕事について、人の言葉に傷つき、姉妹や知人に劣等感を持ち、漠然とした苛立ちを感じる。
この短編集では、そんな20代から40代のいわゆる「オトナ女子」なら共感できる悩みを持つ人物が、数多く出てきます。

その女性たちが、登山で美しい風景に触れ、トラブルに遭遇し、同行者との人間関係に悩み、登り切った達成感にひたる。
その過程で自分を見つめ直し、普段は言えなかったことも口に出し、時には同行者と喧嘩しながらも、最後は前向きな気持ちになる。
いわばオトナの自分探しの物語です。

この作者は女性の言動や気持ちを描くのがうまく、特に会社の同期3人組でのお互いへの感情や疎外感などが細かく描写されており、そうそう、こういうことあるなと読みながら思いました。

またこの作者のお得意パターンの、あるストーリーのメインキャラクターが他のストーリーのサブキャラクターとして登場することにより、「隣の芝生は青い」「みんな幸せそうでも実は悩んでいる」ということがよく表現されています。

読んだ後に、自分も頑張らなくてはと思うような、ちょっと自信をなくした時に読むのにピッタリの本だと思います。

余談ですが、登山のご飯やおやつが、高級品からジャンクまでバラエティ豊かで美味しそうなのも、この作品の隠れた楽しみです。

いろいろな山岳小説を読みましたが、山に登ってまで喧嘩する人達の話は初めて読みました。登場人物は皆一癖ある人達で、この作者らしいです。

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幻冬舎から発売された湊 かなえの山女日記(JAN:9784344026018)の感想と評価
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