いじめと不登校 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルいじめと不登校 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者河合 隼雄
販売元新潮社
JANコード9784101252285
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

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河合隼雄先生はスイスのユング研究所で日本人として初めてユング派分析家の資格を取得した、ユング派心理学者の第一人者であり、心理療法家です。今でこそ、「心理カウンセラー」や「臨床心理士」という言葉は広く知られるようになりましたが、そもそも日本には何もないところからその基礎を築いた人です。心理学に関する本、心理カウンセリングのケーススタディに関する本はもとより、さらには日本の文化や社会に関する本も多数書いています。河合先生の著書の特徴ですが、平易な言葉で一見なんということでもなさそうなことを書いているのですが、良く考えると含蓄のある深い考えを読み取ることができます。
 当書も含蓄の深い言葉が多数みられます。一例ですが、
 「「人はみな平等であるという精神のもと、建前として、全ての人間は努力さえすれば何でもマスターできるはずである、という考えが日本の教育界を支配してしまった。」
 「日本では「勉強の不得意な子どもに対して、親や先生は「あなたが怠けているからだ。もっと努力をしなさい」と叱ってきた。得意な子どもも不得意な子どもも、それぞれが自分の個性を発揮して自分の好きなことができる環境が形成されてこなかった。そして、教科書にしても、それを教える方法も、できる限り画一的で同質にすることが民主的である、と考えられてきたのである。
 でも、考えてもみて欲しい。誰もが猛練習をすればプロ野球の選手になれるものであろうか。数学が得意な人と苦手な人とでは、問題を解くスピードも違えば、理解力も違うはずである。先生がみんなに同じ説明をしても生徒がそれをマスターできるかは、生徒自身の理解力によるものである。」
 他のところとも合わせ読むと、いじめや不登校等の学校や、子供の問題の背景には、日本の社会の画一主義的な考え方があり、現代ではそれが時代に合わないためさまざまな問題を生み出していることが読み取れます。また、
「生きる力を失わせるような教育が問題だというのである。」
 「昔の親はしたいことができなかったから、うまくいきました。」「今の親で一番難しいのはできることをしないこと」などの言葉もあります。

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