あいさつは一仕事 (朝日文庫) の感想

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タイトルあいさつは一仕事 (朝日文庫)
発売日販売日未定
製作者丸谷才一
販売元朝日新聞出版
JANコード9784022647016
カテゴリ文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 芥川賞 » 51-75回

購入者の感想

氏の挨拶・スピーチ集第三弾です。ある時は褒め、ある時は偲び、ユ−モアでくるまれた変幻自在の語りはさすがの一言。

「戦後の日本が新しく手に入れたものはいろいろあります。たとへば基本的人権とか、言論の自由とか、農地改革とか、男女平等とか。みないいことでした。素晴らしい。しかしそれと引き換へにしてのように、日本は趣味のよさを失つてしまった。上品で優雅な感覚が大事なものでなくなり、庶民的とか生命力とかキッチとかいろいろ称して、ガラの悪さが横行する世の中になった」(57頁)。
「一杯やるのにさへ準備する男は、何をやっても成功するだらう」(137頁、豊田泰光氏を評して)。
「この、文学史、地球と人類の歴史、そして同時代史の三つの層を重ねて、人間の時間といふややこしいものをとらへたい、人生が歴史のなかに包まれてゐるといふ意識によって裏打ちされる時間感覚を写し取りたいといふのは、わたしの前まへからの願望でありました」(180頁、『輝く日の宮』にふれて)。
「わたしは若いころから、人間の時間といふ不思議なものの構造と肌ざはり、時間の感触と重層性・・・・・・人生とか歴史とか、神話とか日常とか夢とか、いろんな層が重なつて出来てゐる・・・・・・それに関心があって、いつかこれについて存分に書いてみたいものだと考へ、あれこれと模索してきたのですが、今度やうやく、生涯の終り近くなって、こんな形で何とかまとめることができました」(181頁、同)。

なお、214頁に出てくる「文学者は二つのことをしなければならぬ。一つは傑作を書くことです」の件(くだり)は、氏の訳書であるナサニエル・ウェスト作『孤独な娘』の訳者あとがきの165頁に引用文として出てくる「作家の仕事は傑作を書くことである。その他のことはどのような重要性をももたない」と照応しています。

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