自民党政治の変容 (NHKブックス) の感想

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タイトル自民党政治の変容 (NHKブックス)
発売日販売日未定
製作者中北 浩爾
販売元NHK出版
JANコード9784140912171
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

「さまざまな価値のバランスを追求すること」が、政治的取り組みとして、日本で実際に行われた時代があった。それは、大平正芳内閣(1978.12~1980.6)ならびに中曽根康弘内閣(1982.11~1987.11)の時代に採られた「日本型多元主義」と呼ばれる理念に基づく政策で、本書『自民党政治の変容』は、そのあたりの事情を詳しく伝えてくれている。

「日本型多元主義」を理論面で支えたのは香山健一、村上泰亮、佐藤誠三郎、公文俊平らを中心とする学者グループ。その構想は要するに、それまで日本が採ってきた「追いつき型近代化」の終わりという時代認識に基づき、近代的な集権国家とともに個人主義を批判し、西欧をモデルとする近代主義の立場から「封建的」と批判されてきた日本の伝統的な集団主義を再評価したうえで、それをさまざまな政策的手段を用いて補強しつつ新たに発展させていく、というものだった。

“戦後政界屈指の知性派”と評される大平総理。その政策ブレーンとして中心的役割を果たした香山は、大平が首相に就任した1978年に著した『英国病の教訓』で、西欧の福祉国家を批判するとともに、背景にある個人主義的な考え方は、人間生命の時間的連続性や空間的つながりを見落としてしまうものとして、その限界を力説。日本が誇るべき、国家と個人との間に存在する家族・職場・地域といった集団を基盤とした「分権化された、多元的、自立的な相互扶助システムで運用されていくことが望ましい」と主張した。

施政方針演説で「家庭基盤の充実、田園都市構想の推進等を通じて、公正で品格のある日本型福祉社会の建設に力をいたす方針であります」と語った大平は、この構想を実現すべく「田園都市構想研究部ループ」「家庭基盤充実研究グループ」「多元化社会の生活関心研究グループ」「文化の時代研究グループ」等々9つの政策研究会を設置。そこには延べ130名にも及ぶ学者・文化人が集結して、21世紀に向けての長期ビジョンが考究された。

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