奇縁まんだら 続 の感想

最近ますます老醜振りで場違いのピエロぶりを発揮している瀬戸内さんの日本経済新聞連載の人気エッセイをまとめたシリーズ三冊目です。
大正11年生まれの長寿者で、著名な小説家、僧侶としての付き合いの広さから一世を風靡した有名人の知己が多いです。
下世話なエピソード大半で、読者の好奇心、野次馬根性そそります。

登場人物は、田中角栄、美空ひばり、片岡仁左衛門、大宅壮一、住井すゑ、埴谷雄高、中原淳一、森繁久彌、片岡球子、吉行淳之介、神近市子、中野孝次、東郷青児、藤山寛美、長谷川一夫、梅棹忠夫、ミヤコ蝶々、小林秀雄、五味康祐、加藤唐九郎、藤間紫。勝新太郎など多士済済です。
美空ひばり、長谷川一夫、藤山寛美に共通しているのは、観客に対する絶品の「流し目」です。
舞台を眺める数百人の観客の一人ひとりに対して、流し目を送り、観客は自分が見つめられていると感じます。
名人お名人たる所以ですね。

芸術家、作家が多く登場します。
普通の人から見れば、常軌をハズレた狂人のようで、フツーの世間では受け入れられないような振る舞いが多いです。

この巻も挿絵は、横尾忠則さんです。
油絵で登場人物を描き、カラー印刷で人物ごとに1ページを使っています。
この本の魅力の半分は横尾さんの挿絵です。

表紙の白塗り仮面のような人物は、長谷川一夫さんです。
もう唸ってしまします。