ROEが奪う競争力 ―「ファイナンス理論」の誤解が経営を壊す の感想
参照データ
タイトル | ROEが奪う競争力 ―「ファイナンス理論」の誤解が経営を壊す |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 手島 直樹 |
販売元 | 日本経済新聞出版社 |
JANコード | 9784532320256 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 投資・金融・会社経営 » 会社経営 |
購入者の感想
「まだファイナンス理論を使いますか?」の著者による新著。経営コンサルタントだと思っていたら、いつの間にか国立大学のビジネススクールの先生に転身していた。前著を読んで、経営の視点からファイナンスを考えるという、これまでとまったく異なるファイナンスの視点に目から鱗だったが、このスタンスは本書でも一貫している。当たり前だし、ごもっともだが、世のトレンドを考えると口にすることが憚れるような意見を堂々と主張している。
たとえば、ROEやエクイティ・スプレッドは昨今では非常に重要な経営指標であるとされているが、著者に言わせれば、経営の後先を考えなければ、簡単に作れる指標であり、稼ぐ力を評価する指標にはならない。また、コーポレートガバナンス・コードに関しては、経営者が無能であれば、社外取締役がスーパーマンであっても、企業価値は破壊されるため経営者選びをもっと厳格にするべき、大株主や株式持合いこそが経営の安定性をもたらす、など。要するに、世の中で良いと判断され、企業が積極的に導入する手法を「競争力を奪うもの」と結論付け、ばっさりと切り捨てている。企業価値創造のカギは、持続的に利益を生み出せるかどうかであり、何も外国から輸入したコンセプトで経営しなくても、身近なトヨタやオリエンタルランドの経営を参考にするほうがはるかにいいヒントになると述べている(オリエンタルランドの財務戦略に関しては詳細に分析し紹介されている)。
前著と比べて本書の良い点としては、まず、「ファイナンスの四本柱(資本コスト、投資判断、株主還元政策、資本構成の4つ)」としてファイナンス理論のこれだけは理解すべき点を絞り込んでいるところ。前著は、ファイナンス理論はムダであり、財務部門もムダである、というようなスタンスであり、私のように財務畑の人間としては何をすべきなのかのヒントがあまり無かったのだが、四本柱に絞り込んで学習すればよいというのは非常にありがたいアドバイス。二点目として、「企業価値フォーカス型ベンチマーク分析」というものをキリンとアサヒをケースにステップバイステップで紹介してくれている点。企業分析には苦手意識があったが、かなりシンプルな分析で、すぐに実践できるはず。社内でのレポートにそのまま活用してみたい。
たとえば、ROEやエクイティ・スプレッドは昨今では非常に重要な経営指標であるとされているが、著者に言わせれば、経営の後先を考えなければ、簡単に作れる指標であり、稼ぐ力を評価する指標にはならない。また、コーポレートガバナンス・コードに関しては、経営者が無能であれば、社外取締役がスーパーマンであっても、企業価値は破壊されるため経営者選びをもっと厳格にするべき、大株主や株式持合いこそが経営の安定性をもたらす、など。要するに、世の中で良いと判断され、企業が積極的に導入する手法を「競争力を奪うもの」と結論付け、ばっさりと切り捨てている。企業価値創造のカギは、持続的に利益を生み出せるかどうかであり、何も外国から輸入したコンセプトで経営しなくても、身近なトヨタやオリエンタルランドの経営を参考にするほうがはるかにいいヒントになると述べている(オリエンタルランドの財務戦略に関しては詳細に分析し紹介されている)。
前著と比べて本書の良い点としては、まず、「ファイナンスの四本柱(資本コスト、投資判断、株主還元政策、資本構成の4つ)」としてファイナンス理論のこれだけは理解すべき点を絞り込んでいるところ。前著は、ファイナンス理論はムダであり、財務部門もムダである、というようなスタンスであり、私のように財務畑の人間としては何をすべきなのかのヒントがあまり無かったのだが、四本柱に絞り込んで学習すればよいというのは非常にありがたいアドバイス。二点目として、「企業価値フォーカス型ベンチマーク分析」というものをキリンとアサヒをケースにステップバイステップで紹介してくれている点。企業分析には苦手意識があったが、かなりシンプルな分析で、すぐに実践できるはず。社内でのレポートにそのまま活用してみたい。