党機密文書は語る 周恩来秘録 上 (文春文庫) の感想

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タイトル党機密文書は語る 周恩来秘録 上 (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者高 文謙
販売元文藝春秋
JANコード9784167651688
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

まず、他の方も言われるように、中国共産党内の権力闘争、特に、大躍進運動の反動から始まった
毛沢東の私的怨念(と言いきって良いと思います)と、その中での、周恩来総理の揺れ動き、葛藤、
また、一刻も早く不毛な権力闘争を収拾して、国家建設に注力しようとする一貫した姿勢(これも
やや語弊があるかもしれませんが)を、党極秘文書、また、筆者自身が多く王明(失脚した人物)から
の、直接インタビューを断固として書き切った良書です。

まず、大躍進運動前の「長征」前後から、国共合作の躓きの経緯、長征の詳細、元々は、周恩来は
毛沢東の上司だったこと、そこから、大躍進運動の失敗を内心では認めていた毛沢東が、フルシチョフ
のスターリン批判をきっかけに、自己の権威を『晩節を全うする(=死後の批判を避ける)ために『のみ』
のために、7億を超える人口の「下からの扇動」と、劉少奇の実務能力に対する評価を敢えて因縁を
つけた経緯、その中で、『儒家の精神』による、『皇帝』への呪縛と、そこから排除されたら一気に政治
生命を失う、という恐れ(=自分の目指す仕事ができない)から、過りも多く犯しながらも、巧みで老獪
なバランス感覚、想像を絶する忍耐力の強さで、根本には、実務的リベラリストとしての姿勢を(基本的に)
貫いた姿が活写されています。

この筆者の公平なところは、周恩来が多くの老友を擁護した半面、意外なくらい身近な人物の処刑命令
に自筆サインをしていたことをしっかり確認・指摘していることです。実質的な実務宰相として毛沢東
からどうしても縁が切れず苦悩する姿、その中で、一方では救い宥め、一方では断固として反抗し
処断も行う、という、筆者の言う『バランス感覚』の巧みさ、または危うさが大迫力で語られます。

今、下巻の残り1/3程度を読み残しているのですが、徹底して判るのは、

1)中華文化の近代政治とは、徹底した『人治』によるものであること。つまり、上に立つ人物が変われば
 国の在り方は簡単に反転しかねないこと。

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