英雄ポロネーズ、ラ・カンパネラ~日本ツアー≪ショパン&リスト≫ スペシャルCD の感想

辻井さんの演奏を始めて聞いたのがEテレ「らららクラシック」と言う番組内での英雄ポロネーズでした。
その時はなぜなのか理由はわかりませんでしたが辻井さんの演奏に目と耳が釘付けになりました。
彼の演奏が耳から心にスーッと入って来たのです。
とにかく驚いてしまい、立て続けに5枚ほどCDを購入してしまいました。

辻井さんがまだお若いので当然レコーディングも新しいものが多く、どの演奏も音質は良好だと思います。
彼の演奏は他の方のレビューにもありますが音一つ一つがとても美しい。
一番感じるのは、辻井さん自身が思い入れているであろう、それぞれの作曲家や作品に対しての気持ちが
素直に伝わってくることです。
個人的な想像ですが、他の有名なピアニストが解釈や理論で作曲家たちや作品に対し能動的に作品と向き合う
場合が多い事に対して辻井さんは単純に「好き」とか「憧れ」の気持ちで真直ぐに受動するところから
取り組を始めているような、演奏からはそんな印象を受けます。
視覚的な情報を得られない故に余分な感情や既存の概念に左右されずに出てくる音
それを聴いている我々も作品の、あるいは作曲者の作品に委ねる思いに
グッと引き寄せられている様なそんな気がしてくるから不思議です。

概ね、くどさやまったりした感じはしてこないので後は聴き手の趣味嗜好フィルターを通しての
判断になると思われますが、自分は好きな、と言うか素晴らしい演奏家だと思います。