愛と怒りの行動経済学 賢い人は感情で決める (早川書房) の感想

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タイトル愛と怒りの行動経済学 賢い人は感情で決める (早川書房)
発売日2017-03-31
製作者エヤル ヴィンター
販売元早川書房
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購入者の感想

進化論、ゲーム理論における合理性と感情の関係を記述した興味深い著書である。ヒトのあらゆる活動がESS(EVOLUTIONARILY STABLE STRATEGY・進化的に安定な戦略)に基づくのは間違いないにしても合理性がすべてなのかという疑問は進化論、ゲーム理論にに興味を持ち納得している私を含め多くの人々が思っていることだろう。例えば天皇制はその起源からして進化論、ゲーム理論からすれば馬鹿馬鹿しいものだしとっくの昔にその役割を終えた陳腐な制度であるにもかかわらず現代でも多くの国民がその非科学性、非合理性、非経済性を認識しながらその存続を認めた「均衡」を受け入れている。そこには著者の指摘するような「感情」の作用も強く働いているのかとも考える。いずれにしろ合理性と感情の関係は人間行動学、政治、経済、進化心理学など進化論とゲーム理論が関わるすべての分野で今後の大きなテーマになるのではと思う。
しかしながらこの翻訳本のタイトル「愛と怒りの行動経済学」はいけない。著者の主張を正確に表しているとは言えない。原題のFEELING SMART・フィーリング・スマートのほうがはるかに論述内容に合っていると思う。サブタイトルの「賢い人は感情で決める」も著者の主張が曲解されるおそれがある。著者の主張は進化論、ゲーム理論に立脚しているのは明らかで、ただ、感情も英語版のサブタイトルにあるように「考えているよりは合理的」なのではないか、進化論的、ゲーム理論的な根拠があるのではないかと主張しているのであって感情が優先するあるいは感情がすべてであるなどと主張しているわけではない。この分野の著書の邦訳には売らんがためにおかしなタイトルをつける傾向があるが問題だと思う。

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