ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番――世界トップ1%の資産防衛 の感想

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タイトルウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番――世界トップ1%の資産防衛
発売日販売日未定
製作者ブルック・ハリントン
販売元みすず書房
JANコード9784622086802
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

購入者の感想

2008年の金融危機によって、ウォール街やシティに拠点を置く巨大な金融業者が自分たちでも理解できないほど複雑な商品を売り、客を食い物にすることで暴利を得ていたことを誰もが知ることとなった。一方で、危機の元凶をつくったインベストメントバンカーたちのはしたないほどの報酬も霞むほどの資産をもっている人たちのために存在する特別な金融業についてはほとんど語られることがない。それがウェルス・マネジメントという世界だ。本書に引用されている連邦準備制度理事会のデータによると、2008年~09年にアメリカでもっとも裕福な上位10%層の平均損失はたった6.4%で、中間層が受けた影響の6分の1だったという。そして損失を最小限にとどめた富裕層は、暴落した株や不動産その他の資産を買い占め、景気回復後にはさらに金持ちになった。

ウェルス・マネジャーとは、こうしたごく少数の超富裕層の財産を政情不安、租税、離婚といったリスクや不利益から財産を守り、ローリスク(ローコスト)・ハイリターンの運用によって増やし、次世代に継承していくために雇われるプロフェッショナルである。租税回避など、合法的に国家を欺くことも仕事のうちであり(本書の表現を借りれば「倫理的にグレーの領域」)、顧客のプライバシー保護は絶対である。ゆえにウェルス・マネジャー自身の活動もベールに包まれている。世界人口の0.7%が世界の資産の41%を所有するという異常な不平等をもたらした富の流動性の低下と、それによる階層の固定化をもたらす一翼を担った知られざるプロフェッショナル集団に光を当てることで、「誰が、どのようにして、事態を維持させているのか突き止める」が研究の主課題である。
ウェルス・マネジャーのルーツは中世イングランドの封建制度の慣行にあるという。かつては友人か親戚が名誉職として無償で財産の受託者を引き受けていたが、扱う財産が土地から金融資産に変わっていくにつれて、受託者も武力を背景とした不動産の守護者から法的な操作を駆使する金融資産のポートフォリオの管理人へと役割そのが変わり、専門職化していった。

社会学者である著者は、STEP(Society of Trust and Estate

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