病気がみえるvol.11 運動器・整形外科 の感想

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内科で外来をしていて、腰痛や手足のしびれの訴えがあったときに、気になるのが、整形外科系の疾患。

本書は、特に解剖に多くのページを割いて丁寧に紐解いており、更に最新の分子病態や手術法に至るまでわかりやすく解説されており、類書にはない詳細な解説と、それを苦痛に感じさせなくするわかりやすい図に溢れた本で、内科医が日々出会う、腰痛症のようなコモンディジーズの原因や治療法とについての重要な知識をイメージとして与えてくれる。

近年は内科学会誌でも、その必要性からか、整形外科疾患のガイドライン等の要約が特集され続けているが、手術法の具体的なイメージが文章からではつかめないことが多い。

例えば、椎間板ヘルニアが、まず第一の治療が、保存的であると言われてもなんとなく釈然としなかったが炎症細胞の浸潤とそれらの細胞から出されるMMPを中心とした蛋白分解酵素が髄核の分解に関わるさまを図を中心として説明されると納得がいく。
また脊髄や、神経根に変化をきたすような病変の鑑別をするときに、やはり解剖の知識に加えて、整形外科の鑑別は欠かせない、ここはどうしてもしっかりと鑑別をかけるために専門医に紹介しないといけないのか、もう少し様子を見るべきなのか等の判断や、紹介した整形外科医のレベルを知る上でもこちらの知識は重要である。

そのような非整形外科医が短期間でまとめて、知識を入れ替えるのに本書は特に優れていると感じた。

追記：このレビューを書いた後に本書を２回ほど通読した。確かに他のレビュアーのコメントにあるように取り上げられている整形外科疾患数については使えば使うほど不満が出てくるのは事実である。
逆に言えば、この分厚い本でも全く足りないほど、整形外科疾患は広いフィールドをカバーしていることがわかり、そのことを知らずに自分が患者の相談に乗ったり診断してきたことに驚かされた。

整形外科について学習できるYoutubeをいくつか紹介しておこう。Dr.nabil ebraheimのチャンネルでは、整形外科の各種疾患の診断治療に関してアニメーションを用いたビデオが毎週追加されており、登録していると自然と整形外科疾患について詳しくなれて便利だ。