駆逐艦「五月雨」出撃す―ソロモン海の火柱 (光人社NF文庫) の感想

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参照データ

タイトル駆逐艦「五月雨」出撃す―ソロモン海の火柱 (光人社NF文庫)
発売日販売日未定
製作者須藤 幸助
販売元光人社
JANコード9784769826309
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

元々旧海軍の艦艇好きでしたが、艦これで「五月雨」に関心を持ち本書を購入しました。なので、両方の視点での感想となります。

本書は駆逐艦「五月雨」に乗艦していた方の手記となりますが、同様の本は多くの難しさを持っています。

ひとつめは、書かれたのが戦後の年月が経ってからだと本人の記憶が曖昧で、不正確な内容や当時の本人が経験したわけではない後付け知識や思想が混じりやすいこと。
ふたつめは、大局の把握が難しい一兵卒だった方が本を書く場合は後付け知識や空想が混じりやすく、士官だった方の場合は当時の立場や判断への弁解的な内容や歪曲が混じりやすいこと。
みっつめは、本職の文筆家でない方が書いた文章は、必ずしも書籍として良い文章にはなっていない場合が多いこと。

これらの問題により、戦争体験者の手記というものも、必ずしもお勧めできないものが多く存在していることは事実です。

その点、本書は駆逐艦という小ぶりな戦闘艦艇にて、水雷指揮官付の伝令として情報を取り扱っていた方が、当時つけていた日記を元に戦後すぐの昭和30年に刊行されているため、戦争当時の駆逐艦乗りの経験や思いが本当に率直に記されています。また伝令らしく要点を押さえた客観的で簡潔な文章は、非常に読みやすくなっています。

日本軍が快進撃を続けた緒戦の緊張や高揚感、航空機や潜水艦への苦戦や恐怖、華々しい戦果を挙げる僚艦「夕立」への羨望の思い。
戦況が悪化していく中、「鼠輸送」に奔走しながら多くの艦の最期を目にし、自らも仲間の無惨な戦死を悼み、羨んだ「夕立」を自ら自沈処分させることになった複雑な思い。
そして戦況がさらに悪化し各地で撤退や玉砕が繰り返される中、司令部の指揮・戦略に疑問や憤りを感じながらも最前線に出続ける強い思い。

こういった、当時の兵たちが持っていたであろう様々な思いを、極めて自然な形で感じることが出来ます。

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