文明が衰亡するとき (新潮選書) の感想

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参照データ

タイトル文明が衰亡するとき (新潮選書)
発売日販売日未定
製作者高坂 正尭
販売元新潮社
JANコード9784106002212
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

政治学者高坂正堯が1981年に出版した本で、ローマ、ヴェネチア、アメリカを順に取り上げ、最後に日本が生きる道を探る自由な思索の著だ。この本は実は出版直後に一度読んでいる。まだ高校生だった私は半分位意味もわからないまま読んでいた覚えがあるが、栄華を誇っていた文明がやがて衰退していく様子が強烈に印象に残っていて、以後の世の中の見方に大きく影響を受けた本のひとつだ。

今回その本を読み直してみようと思い立ったのは、先頃読んだ「The Next 100 Years」(邦題:「100年予測」)がきっかけだった。フリードマンの歴史観は大局的で非常に冷静でもある。彼の近現代史の解釈では的を得ていると思うところが多い故に、その近未来予測にもある程度説得力があるのだが、彼の描く近未来では、日本をアメリカにとっての大きな軍事的脅威とみなしている。もちろん日本以外に脅威と成り得る国をいくつかあげているが、日本については特に多くのページを割いて警戒している。どうも釈然としない。アメリカという人類史上屈指の超大国が、なぜ極東の小さな島国をそれほど警戒しなければならないのか。

そこで思い出したのがこの「文明が衰亡するとき」だ。高坂正堯もこの本の中で、日本の未来の姿に触れている。30年前に彼が思い描いた未来が今、どのくらい現実となっているのかにも興味があった。もう一度読んでみて、高校生の時にはわからなかった奥の深さが見えてきて、あらためて感銘を受けた。この本は高坂自身の言葉によれば「歴史散歩」のようなものだそうだ。彼の他の著作や論文のように一つのテーマを深く掘り起こしていくというスタイルとは少し雰囲気が違う。もう少し高い場所に立ち位置を置いて、歴史全体を鳥瞰している。まるで大きな鳥のように歴史の流れの上を舞い、時としてある場所に降り立ったり、また飛び立ったりと、自由自在に散策しているかのようだ。

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