死者のいる中世 の感想

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参照データ

タイトル死者のいる中世
発売日販売日未定
製作者小池 寿子
販売元みすず書房
JANコード9784622042495
カテゴリ »  » ジャンル別 » 歴史・地理

購入者の感想

本書は「死者と中世」に関連する芸術作品を探し求めて欧州を旅するエッセイ風の美術解説書である。
即ち、中世に於ける「死」を考察しながら、著者の作品への思いや自らの体験を語り継ぐ情感豊かな一冊なのだ。

訪ねる先は、ストラスブール、パリ、ブリュッへ(ブルージュ)とトゥルネイ、サン=トメール、ボーヌ、シャンモル、フィレンツェ、パレルモ、シエナ、パドヴァとフェッラーラ、ヴェネツィア、シュトラウビングとハビエル城、そしてルーブル美術館とサン・ドゥニだ。
各都市毎に様々な作品を取り上げながら展開する構成なので、着眼点が解り易い。
また、かの有名な《死の舞踏》、或いはパレルモの《死の勝利》やサン・ドゥニの霊廟等、所謂「死と直結」した作品を選んでいるかと思えば、宮廷人達の肖像画や「授乳の聖母」等、一見「死」とは無縁な作品を取り上げているのも興味深い。
そこに著者が何を見出すのか…或いは如何にして「死」と結び付けて行くのか…多様に思いを廻らせながら読み解いていくのもまた面白いのではなかろうか。
勿論、キリストの磔刑図や十字架降下、更には殉教を題材としたものも多く含まれている事は言う迄もなかろう。

本書を読むと、中世の欧州が如何に「死」を捉え、そして常に「死」と隣り合わせの世界であったか…という事を考えさせられる。
また、著者が実際に訪れた“紀行文”でもある事から臨場感に溢れており、その町の空気を肌で感じる事も出来るであろう。

但し、これはあくまでも私個人の目的意識の違いではあるが、想定していた内容とはやや趣が異なる作品だったので、評価は平均点とさせて頂いた。
何しろ私は素人なので、本書のような著者自身の思索を中心としたものではなく、明確な結論を提示した小論文、或いは特定の作品を扱った研究書の方が却って解り易かったのではないかと思う。
本書は客観性よりも主観を重んじている事から、決して「期待外れ」という訳ではないものの、明らかに私の意図とは違ったのだ。

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