HUNTER×HUNTER モノクロ版 36 (ジャンプコミックスDIGITAL) の感想

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富樫さんが書きたいように描かれた本巻。我慢して読み進めていけば面白さがあるのだろうと思っていましたが、期待外れです。
みなさんがおっしゃっている通り、登場人物が多すぎます。意味があるものだと思っていましたが、ないです。

読者を置き去りにしているからにはそれ相応の面白さがないといけないと思います。

友情、努力、勝利を抱く大人達が跋扈する航海ストーリーが続きます。
暗黒大陸という大風呂敷の衝撃は何のその。
それぞれの事情を抱えた登場人物による心理戦は更に広がり、「これ、まとまるのか？」という複雑な相関図、幾つもの場面が展開されちゃってます。
まぁ、楽しく読めますし、「よくもまぁ、ここまで掘り下げたものだ」と感心してしまいました。
前々作品のクライマックスで「端折る」という大技を繰り出しているので、そこも上手くやるような気がします。
現状もっとも高い可能性は、このまま未完で終わってしまうんじゃあないかな……と思えて仕方ありませんが。

本作品は当初から、「純粋なキャラが強者で、やさぐれた大人は敗者」でした。
世間ずれした人物ほどあっけなく、また哀しい展開を辿っていましたから。
連載開始時から本作を読んでいるほとんどの読者は、ホエール号の船内で共感出来るキャラが増えているか、または変わってしまっているはずなんですね。
ジャンプ作品の読み方を知っているから、本来注目すべきキャラ達を追えてはいますが。
さて、本作の世界観を外してしまえば、やっていることは「豪華客船殺人事件」であり、中身の濃さは映画版ではなくドラマ版といったところでしょうか。
こんな言い方をすると元も子もなくなっちゃいますけど、だからこそ、「ここは間違っても作者が息切れする場面ではない」と思いたいところ。

個人的に、ホント個人的に引っかかったのは、異なる二人のキャラクターに「次善」というセリフを言わせているところです。
たまたまでしょうし、こんなの作家さんあるあるにもなりませんが、作者の深層心理が出ちゃっていないことを祈ります。

この先にある暗黒大陸の世界、読むことが出来るとイイなぁ。