IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(吹替版) の感想

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参照データ

タイトルIT/イット “それ”が見えたら、終わり。(吹替版)
発売日2018-01-12
監督アンディ・ムスキエティ
出演ジェイデン・リーバハー
JANコード登録されていません
カテゴリPrime Video » カテゴリー別 » 外国映画 » ホラー

購入者の感想

表題の通り、あくまで30年来のキングファンとしての評価になってしまいますので悪しからず。

惜しい、というのは、ピエロの怖さで前作を超えたいという部分と、原作の持つ要素を伝えたいという両方にチャレンジして、両方が半端になっているという印象です。
世間にはTV放映版のイメージがあるのもわかりますし、今回演じられた役者さんの工夫や熱演も伝わります。
しかし、ペニーワイズの恐怖や、この物語の本当に大事な部分はそこではないはず。

吃音症を持つ、からかいの対象であるビル(あえて原作中の表現で言えば「どもりのビル」)が、はみだしクラブの仲間という限られた環境において、「最高にクールな奴」と評されるように、彼らは不完全な互いの中に特別なものを見出し合っています。
これこそがただの仲良しグループとは違って、彼らをITと対峙するに足る存在にする「魔法」のひとつであり、この部分の描写が足りない為どうしても無理矢理感が残ってしまいます。
限られた時間で描くのは難しいとは言え、ビルが彼らの「絶対的なリーダー」になるエピソードを、ピエロシーン削ってでも何かしら入れられなかったかな。
新参のマイクにリッチィが「あいつがリーダーなんだ。何でかわからないけどわかるだろ?」とか言うだけでも。

また、ペニーワイズとしてのITの怖さは「本当に子供に好かれそう」な所にあるはずです。
物欲しそうに涎を垂らして「ハッ!いかんいかん!」みたいな表情があったり、途中からはもうただ怖い顔だけになっちゃったのは残念でした。
これはキングの他作品で登場する「きかんしゃチャーリー」にも共通する、子供にしかわからない怖さとして描かれる部分ですが、親しげに笑っているが故に恐ろしいという、「無邪気な狂気」、「人間の感情など持ち合わせていない」みたいなペニーワイズが見たかったなぁ…と。
それがあれば、ラストでITが残すセリフにも、続編でのITの行動原理にも、もっとしっかり意味を持たせられるのに。

まずこの映画は「天才の業」ではありません。
ですが原作に対する敬愛、映像化及び制限時間内で語る努力と、原作が持つ意味の咀嚼と消化、そしてそれらが渾然となった結果としての昇華で、考え得る最良に近い映画化となっています。
言うならば「努力による秀才の仕事」です。
正直素晴らしい。
原作が好きであればこの映画化も好きになれると思います。
ですが、翻って考えるに人の業であれば「ここまで」は可能なのです。
だって人間と「割と具体的な悪魔」との戦いですから、
問題は「後編」です。

劇場公開後久しいのでもうネタバレでも何でも無いでしょうから警告を兼ねて書きますが、この映画は完結していません。
ラストで「it chapter1」と明示され、結局「第2章に続く」となります。
あの目眩がするような構成を、濃密な悪夢のジュースを、宇宙空間を漂う神話のような戦いを映像化するのは不可能だと今でも信じています。
さて、果たしてどう料理してくれるのか?
ビル・デンブロウはどうやって悪魔を負かすのか?
自分には監督、出演者を含むこの映画のすべての制作陣こそが、映像化不可能な悪魔的原作「it」に対する「ルーザーズ・クラブ」であるような気がします。
(彼らにはどうか巨大な蜘蛛をパチンコ玉で倒すような馬鹿な真似だけはしないでほしいものですが)
ここまでならば個人的には満点ですが、次作でどう転ぶか分からないので、期待と不安をまぜこぜなまま星をひとつ保留にします。
しかし成人編は、凄まじいものが出来ることを期待します。

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