翔んだカップルオリジナル版 (HDリマスター版) [DVD] の感想

35年ぶりに再見しました。今見ても実に新鮮。相米慎二の演技指導が優れていると思うけれど、やっぱり、薬師丸ひろ子と鶴見辰吾という「素材」が素晴らしい。もともとの原作漫画が高校生の男女の、ある種泥沼の話で、演者によっては生々しかったり暑苦しかったりする話なんだけど、この二人のビジュアルや声、キャラが、実に清潔感にあふれ、瑞々しく、まさに子供と大人の中間を、この二人でないとやれないだろう位に絶妙に具現化していて、見ていてホント気持ちがいい。主役がこの二人でなかったら、ここまでの成功はなかっただろう。自転車で坂道を下るシーン、ローラースケートのシーン、雨傘のシーン、玄関の鏡のシーンなど、実に、70年代までの、暑苦しく貧相な（ごめんなさい）青春映画を、スッコーンと突き抜けている。もちろん、次第に息苦しくなる展開の話であり、そこは相米が二人をどんどん追い詰め、二人も存分に応えており、そうした部分も見どころだろう。薬師丸ひろ子と鶴見辰吾は、35年後の今もいい味を出しているのが嬉しい（尾美としのりも）。