強欲の帝国: ウォール街に乗っ取られたアメリカ の感想

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タイトル強欲の帝国: ウォール街に乗っ取られたアメリカ
発売日販売日未定
製作者チャールズ・ファーガソン
販売元早川書房
JANコード9784152094506
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

現場で実際に業務を行なっていた人々はもちろん、多くの経営幹部も、自分たちがクソ商品を売っていることを完全に理解していた。
彼らは商品が売れさえすればよかったのであり、それがどんな商品だろうと、どんな害をもたらすおそれがあろうとかまわなかったのだ。
彼らは往々にして、もっと臭いクソをもっとたくさんよこせと住宅ローン会社に迫り、商品の特性について虚偽の説明をして投資家に販売し、
売った商品が値下がりするほうに賭けて、もう一度儲けていた。
P105~106

悪質すぎる。
こんな連中のせいで世界恐慌に突入したと思うと腹が立つ。
日本にも影響が出て、日本の銀行の貸し渋りが始まり、企業は資金調達難に陥り、
日本では内定取り消しにうろたえる学生もいたし、契約打ち切りに呆然とする派遣従業員もいた。
ウォール街の連中(特に投資銀行)はタチが悪すぎる。
彼らの実態がよくわかる本だ。

アメリカの金融界が、とんでもないことになっているのは、日々のニュースでも理解できます。
ただ、これほどとは思いませんでした。

イギリスなどの古い小説を読むと、いわゆる中産階級の人々が様々な形で、運用会社などを通じて投資を行い、老後に備えたり子どもたちに資産を残します。それは、安定した配当が出てくる株券や利回りは高くないが確実性の高い債券などに向けたものです。あくまで、投資であって、「投機」ではありません。しかし、いつごろからか、投資を抑えて、「投機」が、しかも実質的にはほとんどギャンブルとなった「投機」が主流になっていきます。本書を読んでいくと、その変化は1980年代あたりからだということがよく分かります。

さらに、一時期は日本のマスコミでも「グリーンスパン」を持ちあげる人はたくさんいましたが、本書を読むと、そういった人たちが、意図的に嘘をついていない限り、真実を見抜く「目」を持っていなかったのかが分かります(嘘をついていたとしたら、それも酷い話ですが…)。また、現在でも常に称揚される「規制緩和」の少なくない部分が、一部の人たちにしか利益をもたらさないことも同じです。

もう一つ、政権交代が可能なために評価されがちな二大政党制ですが、部分的な政策に差が出たとしてもある種の基本的政策(現在のアメリカの場合、金融政策や規制緩和など)が同じであれば、“政権交代”が無意味なものになることが指摘されています。

経済学者やマスコミにも、公平で公正な人たちは少なくありません。本書の著者も含め、そういった人たちを見抜く「目」を鍛えたいなと思います。

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