MELLOW WAVES [LP] [12 inch Analog] の感想

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フリッパーズ・ギターに青春時代を彩られました。けれど彼らの活動は花火のように瞬く間に消えてしまいました。フリッパーズ時代のアルバムは私の宝物になりました。いつ聴いても色褪せることなく、お洒落で、素敵な音楽でした。

最近は、年齢のせいか、聴きたい音楽がなくなってきました。あんなにも音楽が好きだったのに。音楽は心の友達だったのに。

なぜかと考えたらそれは、以前とあるミュージシャンがTVで語ったように｢人生経験が音楽を超えてしまった｣からかもしれません。どんなに愛だの恋だの平和だの歌われても、チンケに思えて仕方なかったのです。あと、音がうるさかったりとか。

そんな今の私が聴きたかった音楽を、まさかのコーネリアスが創ってくれました。いや、まさかではないのかもしれないのかもしれないけれど。フリッパーズ・ギターに出会って夢中になったあのことを思えば。

フリッパーズがソロになってからは、どちらかと言えば小沢くん派でした。コーネリアスは難解に感じてあまり近づけなかった。

でも、ベテランになった彼が創ったアルバム、今の私にぴったりなんです。メロウ感も、無常観も、難しすぎない哲学っぽさ、ほどよい音の隙間も。

私はもう、何かに夢中になることはないでしょう。毎日のように聴く、という歌もない。でもそれすらも肯定してくれるようなこのアルバムの世界観。

やられました。

小山田くん。いろんな経験をしてきて、いろんな思いを味わってきて、それを昇華してこんなアルバムを作ったのかな。

素敵な音楽を作ってくれてありがとう。こんな歌があるなら、この世はまだ、ましかな。