差配さん の感想

「コミック乱」掲載第一話を読んだ時「そう来たか」という驚きと、なんともいえない暖かさが印象に残りました。これがシリーズ化されたら良いなと思っていたら、やはり好評だったらしく連載が始まり、こうやって単行本になったことはとても嬉しい。浮世絵をそのままマンガに転化させ、濃密な情念が渦巻いていた「ふしあな」とはうって変わって、絵柄も明るくなっています。子捨てや心中話など、決して内容事態は甘くありませんが、明るくあっけらかんとした雰囲気なのはあくまで「猫視点」だという事なのでしょう。その明るさは人間が猫を見て「自由に生きているなあ」と感じる部分を上手く表していると思います。猫視点のマンガもたくさんありますが、その中でも変化球で、またそれが江戸時代という設定、話の内容とマッチしています。猫の特徴をよくとらえた姿もとても可愛らしく描けていて、それを見るだけでも楽しいです。