この美術部には問題がある! (1) (電撃コミックスNEXT) の感想

まず第一に、絵が非常に上手いなと感じた。典型的な萌え絵ではあるものの、作画が一切崩れていないし、キャラも表情豊か。
背景もしっかり緻密に描かれており、表紙や作品内にしても、美術部の部室一つ取っても、妙にリアリティがある。

美術を題材にしているだけに、作中の美術関係の絵も上手いが、ひょっとして作者は美術部か美大出身なのだろうか。
主人公たちが描いたオカルト研究部の勧誘イラストは、流石自由な中学生。
なかなか表現力豊かで面白かった（美術部というより、漫画家かイラストレーターが描きそうな絵だが）。

特にヒロインのみずきは本当に可愛い。このテのタイプのヒロインは主人公に全く素直になれない、
ツンデレというよりはむしろDQNばかりなのだが、みずきは案外素直に感情を表すので、読んでいて不愉快な印象も全く無い。

主人公の変態ぶりもナイスキャラだし、
部長もやるときはやる奴に見えて何もやらないところがカッコイイ。コレットも小動物的可愛さがある。

ギャグもキレッキレで、何度も笑わせてもらった。

だが、メインはあくまでラブコメである。
この部分も、変態を好きになってしまった美少女の切なさが出ていて、引き付けられた。

ライバルが二次元ってのが良い（笑）。そして新しい。

トータルとして、話、絵、題材、どの部分も完成度が高く、優良作品。

そして驚いたことに、後書によると、
この漫画はアシのいない作者がたった一人で完成させたのだという。つまり崩れのない作画も緻密な背景も全部作者がたった一人で描き上げたわけだ。
しかも同時に連載を持った状態で描き切ったらしい。絵が上手いとは思ったが、これにはホントにたまげた。
他の漫画家でも出来る人は少ないだろう。