はじめての仏教―その成立と発展 (中公文庫BIBLIO) の感想

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参照データ

タイトルはじめての仏教―その成立と発展 (中公文庫BIBLIO)
発売日販売日未定
製作者ひろ さちや
販売元中央公論新社
JANコード9784122038660
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

購入者の感想

私は少なからず仏教関連の本を読んでいるし、お寺もちょこちょこ訪ねていますが、これほどまでに明快に仏教の成り立ちから現在にいたるまでの歴史と体系を説明してくれた本は始めてでした。

自分が仏教に抱いていた一番大きな疑問は、仏陀は人であり、仏教は何かを拝む宗教というよりは人生に対する学問のようなものだったのに、何故今こんなにいろんな仏像や宗派があるのだろうかというものでした。

ひろさちやさんの説明では、仏陀は人だけれど、肉体は滅んでも存在は永遠だという考えから、過去仏という考えが生まれ、過去仏があるなら未来仏、そしてさらに空間的にも広がって、この世でない「浄土」に存在する数多くの仏達が生み出されたということ。そして有名な薬師仏も阿弥陀仏もその他空間の仏様たちだそうです。

そしてひろさちやさんのネーミングで「宇宙仏」これは、キリスト教の「神」に近いような、全宇宙に充満するような存在で、それを毘盧遮那仏と呼び、奈良の東大寺の大仏さんがそうなのです。宇宙仏は曼荼羅上では全ての仏様たちの中心、つまり奈良の大仏さんはキング・オブ・ザ・キングといったところ。さすが、大仏のモデルになっただけのことはあります。

あと、自分がよくわからなかったのは、小乗仏教と密教。この二つは何かインドやミャンマーか、あのあたりの仏教だろうとごっちゃになっていました。実際ミャンマーに行っていろいろお寺を周ったのに恥ずかしいことです。小乗仏教は、ひろさちやさん曰く、阿羅漢仏教で、出家信者だけが自分たちの修行のためだけの仏教で、一般の在家信者に説法をしようとは思っていないというところで、民衆に受け入れられず、「劣った仏教」と考えられてしまった一方、在家信者や一般民衆をも救うと言われる大乗仏教が大きく広まり、それがインドのヒンドゥー教と混ざったのが「密教」でした。

「密教」というからには秘密の仏教で、日本とは関係ないと信じていた私が恥ずかしいのですが、日本に始めて仏教を伝えた最澄と空海は共に密教を最上の教えとして、日本の仏教はそこからはじまったということです。

たとえ話と言い換えが驚くほど上手い。仏教の知識は多少あるが、その意味がなんとなくわからないでいた人は、きっと驚くはずだ。たとえば、出家した僧侶と在家信者のちがいを、入院患者と外来の患者のちがいに置きかえて解説する。大乗仏教の「空」の思想は、「差別するな」と「こだわるな」という二言に集約される。大日如来(密教の中心的な仏)と明王(お不動様など)の関係を、会社とそのセールスマンに見立てる。とにかく発想が柔軟なのだ。
また、「日本の仏教」の章では、日本の仏教は究極的には空海に行き着き、その完成形として親鸞と道元がいる、と結論づけられている。意見が分かれそうなところだが、図式的に理解しやすく、筋は通っているので、初学者が学ぶのには非常に適切な解釈である。

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