筑豊一代「炭坑王」伊藤傳右衛門 の感想

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タイトル筑豊一代「炭坑王」伊藤傳右衛門
発売日販売日未定
製作者宮田 昭
販売元書肆侃侃房
JANコード9784902108712
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 伊藤傳右衛門の側から、彼の生涯を描いたものが少ないので、そういう意味では貴重な著作だ。

 再婚した嫁さんから、三行半をつきつけられて、その嫁さんが不倫相手と駆け落ちする、という、伊藤傳右衛門でなくとも、「文句を言いたいのはどっちだと思ってるんだ」と言いたくなるような、誰にとっても最大最悪の屈辱的なできごと「白蓮事件」が、当時の朝日新聞の記者が絡む形(伊藤傳右衛門を旧弊の代表者と規定して批判を込めた離縁状は、白蓮側の真意ではなく、事件に関与した朝日新聞記者による創作的な代筆=捏造とも言われている)で、一面トップ記事で報道されたため、それだけが突出して世に知られる結果となってしまい、今日に至る迄、九州以外の地域で、彼の業績が正当に評価されにくい状況を作り出している。

 男女の関係は、相対的なもので、どちらか一方が原因をなしたものではないという想像はできる。
 にもかかわらず、朝日新聞による扇情的なスクープ記事の結果、伊藤傳右衛門は「白蓮が決別宣告せわるを得ないような男性社会優位を代表する最大の加害者」という印象を植えつけたられたのは、九州人にとって無念極まりない。

 伊藤傳右衛門は、無学貧乏から身をおこした自分自身の境遇から、有為な人材には個人的な教育資金の提供を続けて貧乏ゆえの教育機会の喪失を減らす努力を続け、地域の教育や文化振興にも、学校設立や寄付行為を通じて私財をつぎこみ、この分野に無私の投資を続けた人であった。

 また、炭鉱経営だけでなく地域の金融機関の社長なども歴任し、地域経済発展のための銀行合併の立役者にもなっている。

 戦時中にあっては、国家のために戦闘機などを献納している。単なる金持ち、単なる成り上がりではない。この書籍で描かれている通りの人物だ。

 この視点で描かれた彼の半生記は、少なかったので、その点では溜飲がさがる本ではあった。

 難点を指摘すれば、会社経営資料などの読み込みが浅く、彼の死後70年近くの歳月が流れているため、聞き取りできる関係者が限られているため、伊藤傳右衛門の業績を十分に描き切っているとは言えない点だろうか。

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書肆侃侃房から発売された宮田 昭の筑豊一代「炭坑王」伊藤傳右衛門(JAN:9784902108712)の感想と評価
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