親指はなぜ太いのか―直立二足歩行の起原に迫る (中公新書) の感想

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参照データ

タイトル親指はなぜ太いのか―直立二足歩行の起原に迫る (中公新書)
発売日販売日未定
製作者島 泰三
販売元中央公論新社
JANコード9784121017093
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » サル・人類学

購入者の感想

膨大なデータと観察と科学的な思考法で丁寧につきつめた結果、初期人類の食物が、大型獣が食べ残した骨である、という仮説に到達した経緯を詳述した本。
人間の親指は、手に石を握って骨を割るために発達したものであり、人間の臼歯は、穀物を食べるためなどではなく、骨片をコロコロと転がしながら噛んで、割って噛みしめて食べるためのものだったそうだ。
これで、マクロバイオティックなどの理論は根拠がないことが証明された。
他の多くの科学的分野の研究からも、今では、人間がもともと穀物食いなどではないことが証明されているが、この本に書かれていることは、中でもユニークだ。
多くの医療者や科学者から一読をおすすめされている、重要な本。

 我々人類は地球上に誕生以来、元々、何を食ってきたかを教えてくれる名著である。それどころか、このご本はちょっとソコラの本とは全く次元が違う、大傑作と言っても過言でない位のご本である。「ニッチ(Niche)概念」と「口と手連合仮説」がこの著作のキーポイントである。ニッチとは、簡単に言えば、「特定の主食」である。「口と手連合仮説」とは、「霊長類ではその種の口と手の形が主食を決定する」という仮説である。
 
 人類は臼歯のエナメル質が異様に厚く、犬歯が縮小して歯列が平らで、すり潰しに適しており、頑丈な顎としっかり握りしめる手を持っている。この口と手の特徴に対応したニッチ(Niche)とは一体何か??島博士によれば、拇指球と小指球の間に出来る窪みには石が収まるというのである。そして、すり潰すべき極く硬い物とは骨だという。そう、人類のニッチ(Niche)は骨、骨髄であったのだ。拾い集めた骨を石でかち割って、中の骨髄、海綿骨を掻き出し、それを啜って食べていたという。400万年前、人類は「ボーン・ハンター」として誕生したのだ。しかし、「ハンター」といっても、狩猟ではなく、「骨・死肉あさり」であった。その証拠に、タンザニア(人類発祥の地)には、ハザ族という現在でも骨・骨髄を常食する部族が存在する。この大地溝帯の周辺は、200万年前から基本的な生態系が変わっていない。従って、ハザ族の食い物は初期の人類とよく似ていると考えられているのだ。初期人類は1日に必要なカロリーの60%を骨髄から得ていただろうと推測されている。
 
 「片手には石を、もう一方の手には骨を持ち、立ち上がる、そして歩き出す。」なんとドラマチックな表現だろう。博士の「口と手連合仮説」によれば直立二足歩行も「必然」なのだ。何という壮大かつ美しき理論だろう。全く反駁不可能である。 私はこのご本を2007.11.04.に購入し、その高度な内容に大層感激したのだが、その直後の11/30に発行された釜池先生の著作『医者に頼らない! 糖尿病の新常識・糖質ゼロの食事術

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中央公論新社から発売された島 泰三の親指はなぜ太いのか―直立二足歩行の起原に迫る (中公新書)(JAN:9784121017093)の感想と評価
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