どろろ(1) (手塚治虫文庫全集) の感想

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参照データ

タイトルどろろ(1) (手塚治虫文庫全集)
発売日販売日未定
製作者手塚 治虫
販売元講談社
JANコード9784063737172
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

百鬼丸とは、戦後の日本のことでしょう。

八紘一宇という愚かな夢のため、
すべてを破壊されつくした終戦直後の日本。
天下統一という愚かな夢のため、
手も足も失って生まれてきた百鬼丸。

日本は、復興のため、がむしゃらに働いた。
百鬼丸も、自分の手足を取り戻すため
妖怪退治にまい進する。
しかし、問われる。

「妖怪を一匹ずつ退治するたび
手が生え足が生え、やがて
一人前の人間(国)になる日が来る。
そうなったら、その後、どうする?
何を目標に生きる?

そんなことは、その時考えりゃいい。

いや、そうじゃねえ。お前は
目標を失ってがっかりするだけだ。
お前さんは幸せになんかなんねえ。

うるせえ、じゃあ、どうしろっていうんだよ!」

日本初の経済白書に
「もはや戦後ではない」とうたわれたしばらく後、
カラーテレビが普及し始めていたころに提起された
この問いは、結局いまだに回答されていない。
あえて暫定的に提起された答え、

「どろろの金は、貧しい人たちが立ち上がるために
使われるだろう。お前も、そういう人たちのために
戦うんだ。それが目標だ。そのため、お前は
人間になるんだ。」

このような訴えは、結局
多くの日本人には届かなかったように思う。

「目が見えなくたって、心の目ってもんがあらあ」
と、うそぶいていた百鬼丸は
目が見えるようになった途端、
目の前の少女の美しさに心を奪われ、
兄を殺されたその少女の悲しみを
見ることができなくなってしまった。
見えるようになったがゆえに、
見えなくなってしまうものがある。
当時であればカラーテレビが、
現在であればインターネットが、
何を推し進める可能性があるのか、
示唆的な一コマであった。

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