踏繪 の感想

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参照データ

タイトル踏繪
発売日販売日未定
製作者柳原白蓮
販売元ながらみ書房
JANコード9784860235635
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 歌集

購入者の感想

朝ドラ「花子とアン」に登場する葉山蓮子のモデル、柳原白蓮の処女歌集、復刻版。
装丁は竹久夢二、濃い緑の表紙に、銀の見返し、何とも上品な色使い。

踏繪というタイトルや、口絵に磔刑図が描かれているなど、キリスト教色が意外につよく感じられるが、白蓮が東洋英和で学んだこと、その時代が幸せだったことを思えば、なるほどと頷ける。

白蓮の歌に関しては、歌の世界で彼女の好敵手と目され、翻訳家・村岡花子の導き手でもあった片山廣子の評に、どうしても影響されてしまう。廣子はこう書いている。「数百首の中には女王めいた歌がないこともありますまいが、それは作者が詩に捉へられた刹那の空想でせう」と。
白蓮の私生活が新聞に報じられたことで、歌壇でのみ評価されていた『踏繪』が一般にも売れたとのこと、廣子は「世間は好奇の眼を以て」白蓮の姿を「隙身」しようとしているが見える筈はないと言い、「静な平な心を持つて」「歌集を読む人が何千人もあるやうに」と、祷っている。(片山廣子の評は『野に住みて―短歌集+資料編』(月曜社)より抜粋)

さて「花子とアン」がきっかけではあるものの、できるだけ「静な平な心を持つて」、この小さな歌集を読んでみた。
片山廣子『翡翠』について、佐佐木幸綱は「われ」を歌った歌が多いと指摘しているが、白蓮の『踏繪』もまた、「われ」と「わが魂」をつよく激しく歌ったものが多い。
廣子の歌は、現世と来世を往還する「われ」を歌う、幻視の魂を感じさせるが、白蓮の歌は、ときに嘆き、ときに喜び、現世や来世を思うときにも、「われ」の輪郭がくっきりとしている。
自分の運命を嘆き苦しむかと思えば、激しい恋心や、可憐な乙女心を思わせる歌もあり、花や鳥を描写した素直でやさしい、さびしい歌もあり、とにかくバラエティ豊か。

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