ニライカナイ の感想

昨年の「こっこさんの台所」は良かったものの(特に「絹ずれ」は良かった)、パワーダウン感は否めなかった。

しかし今年2010年、「ニライカナイ」という歌姫Cocco完全復活の狼煙を上げる最強の楽曲が誕生した。
良い曲・完成度の高い曲というのは多々あれど、ここまで人を惹きつけ震えさせる楽曲は少ないだろうと思う。
紛れもなく彼女が本物の"歌姫"であることを証明させた楽曲であり、
個人的には復帰後の楽曲のなかで一番好きかもしれないです。

「イーヤーハイヤースイスイスイサーサー」と、沖縄民謡の伝統を尊重した合いの手と琉球國祭り太鼓が響きわたり、
自然を司る女神が彼女に舞い降りてきたかのような、神々しさとしなやかな美しさを放つ。
復帰後のCocco、特に「ザンサイアン」の頃の彼女は、沖縄の伝統音楽とロックとの高度な融合という音楽性に挑戦していましたが、
ここへきてより洗練されたその完成形を創り出すことに成功したと言えるでしょう。
沖縄の伝統を尊重しつつも、ハードロックのような退廃感、男性ラップなどの新鮮な要素もありつつ、
Coccoにしか表現しえない美・自然・暴虐・イノセンス・沖縄…といった様々なテーマがこれでもかと内包されている。

全身全霊でもって表現される痛みと祈りには、怒り狂った自然の脅威のような畏怖すら感じさせます。
あまり安易な表現は使いたくないものの、とにかく感動を覚えました。

カップリングは牧歌的でしんみりとした優しさ・切なさをもたらす童謡のような「やぎの散歩」。
こちらも流石といった出来であります。

デビュー10年以上経った今もこうして凄まじい楽曲を聴かせてくれることにただ感服。
そして今回は久しぶりのサウンドプロデュースに根岸氏も帰ってきたことに敬意と感謝を示したいですね。
理屈抜きで心に響く楽曲をこれからも期待したい。

さらに嬉しいニュース、新アルバム「エメラルド」発売との告知が今作に入っていました。