Sentimental Best の感想

ベスト盤、それも「センチメンタル」に限ったものなので、収録された年代に幅がある。
そのためキャピキャピのアイドル時代から、本格的に女優として活躍する前夜まで、
少女から大人へ成長する過程の酒井法子が凝縮されている。

しかし意外に思われるかも知れないが、「蒼いうさぎ」でブレイクし、以後の大活躍とはうって変わって、
それ以前の彼女は不遇な時代が続き、正直言って楽曲に恵まれた環境ではなかったと言える。
そんな状況で彼女はどんな仕事でも人一倍真剣にこなし、アルバムの中の一曲でもシングルのＢ面でも、
彼女なりに一生懸命歌い上げた、そういう情熱と苦悩が伝わってくる作品である。

よって個々の曲としてもアルバムトータルとしても、何処かぎこちなさを感じてしまうのだが、
それがまた「センチメンタル」というコンセプトに合致しているとも言える。
大げさ過ぎると言われるのは承知の上で、アイドルを卒業しつつあった当時の彼女において、
ビートルズの名作「アビイロード」に相当する一枚かも知れない。

「Love Letter」は極上の一品。「蒼いうさぎ」以後のファンに是非聞いてほしい一枚です。