【Amazon.co.jp限定】POP VIRUS(CD+DVD+特製ブックレット)(初回限定盤B)(星野源 POP VIRUS オリジナルA4クリアファイル D type付) の感想

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恐らく絶賛されまくるであろうアルバムだろうという前提で、そしてそれには全く文句がないという前提の上で、この星野源が2018年に出したアルバムについてどうしても一言残しておきたくてレビューをします。

まず、シングル曲以外は基本ダウナーな曲が多いアルバムだ。
シングル曲でもあるアイデアの２番の部分の雰囲気がずっと続くアルバムだとまず思った。
基本音数は少なく、人懐っこいメロディーは愛くるしいにしても、あの例えばSUNのような重低音と高揚感のハイブリッドの絶妙さはない。

アイデアの２番を初めて聞いたときに(当時日本国民はNHKの朝ドラのオープニングで毎日１番のみを聞いていた)、おーーーー、そういう構造か、ポップソングでやりやがったなー、と痛快なマジックを感じた。
このポップさとダークさがごちゃ混ぜな、今のこの生活のようなごちゃ混ぜ感がこのアルバムでどう展開されるかと非常に楽しみだった。

このレビューの趣旨としては、そのごちゃ混ぜ感があまりなく、どちらかといえば一方向に重心が置かれているのがちょっと残念だった、と結べばそれでいいのだけど、それでもこのアルバムが低評価になるのは全く納得がいかない、というのがなんとも分裂していて自分でもなんともはやなんだけど。
このアルバムは一度聞いてもリピートして聞いてもとてもいいアルバムだ。
アルバムという単位で音楽を聴く習慣がこれからもっと希薄になっていくであろう2018年に十何曲か入っていて一塊というアルバム単位で音楽を聴く楽しさ、色々と考える楽しさを思い出させてくれる。
そして、どの曲がシングルカットされても納得がいく粒揃いの曲がたくさんだ。
たとえば、4曲目の肌なんかは、早く全国民がヘビーリスニングしてこういう歌がいい歌なんだとみんなで確認しあいたい。

シングル曲のドラえもんが入っていたら結構印象が変わったかもしれないな。
でもそれは収録されなかった。
このアルバムは軽やかに高く舞い踊るというよりも、ゆっくりとリズムをとり腰を振る曲が印象的なアルバムだった。
それが星野源の今の答えなんだろう。

今回、このアルバムを何度もリピートする上で一曲目の｢Pop Virus｣における’’君’’が誰なのかと疑問に思っていた。
’’刻む 一拍の永遠を 刻む 一粒の永遠を’’
が最後に
’’刻む 一拍の永遠を 渡す 一粒の永遠を’’
に変わっているのかが引っかかっていたのだ。(渡したその後がどこかにあるはず)
そうして考えていく中で｢Hello Song｣の歌詞で歌われている’’君’’が一粒の永遠を渡された相手であり、音の中で探している’’君’’なのではないかという考えが浮かんだ。
その一粒の中にはいつか出会うであろう’’君’’に向けての音楽がタイムカプセルのように詰まっており、その種を渡された瞬間に｢恋｣という花が咲き、一曲、一曲を通して’’家族というものに対する感情’’であったり、’’愛がどんなものなのか’’など、未来の人が抱いていないかもしれない人間臭さ、説明しがたい心というものを伝えてくれる。そして最後に｢Hello Song｣が源さんからの手紙のように挟んである。

あくまで個人的な解釈ではあるが、100年ほど先の遠い未来にこのアルバムを手に取った人が｢CDってなに？｣と言いながら再生し、ジャケット写真のように胸に花が咲いていく様が目に浮かんだ。

また、全体的に瞬間の永遠性について歌った歌詞が多いように思われる。

’’刻む 一拍の永遠を’’(Pop Virus)

’’触れ合うと 言葉より 君のことを知れる気がした’’(肌)

’’雲が避けて 陽の光が 辺り照らす
道はなく 遠く 微か 進む人に 高く手を振る’’(Present)

’’立ち尽くした 冷えた朝 猿みたいだ 頬を染め キスした’’(Dead Leaf)

’’変わらぬ愛を知って 瞳輝き増して 時間よ止まれよ’’(Nothing)