ラインズ 線の文化史 の感想

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参照データ

タイトルラインズ 線の文化史
発売日販売日未定
製作者ティム・インゴルド
販売元左右社
JANコード9784865281019
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

まさか、こんなアプローチがあったなんて・・・
線に関しては、様々な論文や書物を読んできたが、このアプローチは想定外だった。本書の原書で出会い、そして先々月翻訳書が出て、食い入るように読み進めてしまった一冊。

まず帯が衝撃的だ。

「歩くこと、物語ること、歌うこと、書くこと、生きることは線を生むことだ。」

そうこの本は、線と物語ることの相関関係について書かれた線の文化史がわかる一冊だ。

人はなぜ、チャートやラインを書くと、思わず物語れるのか?
その秘密を長年探し続けていた。本書は上記の私の問いそのものがテーマではないものの、十分その内容について、大きなヒントと示唆を述べてくれている。

本文を引用すれば、
「振り出しが生み出すラインは本質的に力動的で時間がかかわっている。ペンを手にしたスターンがページの上にその振り回しを再現したことで、彼のジェスチャーは私たちが今なお読みとれる恒久的な軌跡となった。」

「まず旅行において、目的地を目指す輸送が徒歩旅行に代わった。次に地図づくりにおいて、路線図が手書きのスケッチにとって代わった。そしてテクスト構造において、あらかじめ作られた筋書きがストーリーテリングにとってかわった。断片化は私たちの理解をも変質させた。」

「略図のラインを引くことは物語を語ることによく似ている。実際、両者は同じひとつの行為を補い合うものとして協力しつつ進行する。ストーリーラインは、地図上のラインのように、先へ先へと進んでいく。物語が語る出来事は、行ってみれば、存在するというよりも出現するものであり、それぞれの出来事は進行してゆく活動の一つの瞬間である。」

このあたりはまさにそうである。

私たちは、古代、冒険者であった。冒険者は己の歩んだ道筋を地図という形で残した。そして、帰還した冒険者は、その描いた地図を用いて、その冒険を物語った。

シンプルに考えれば、その通りなのであるが、
まさかこんなにシンプルにかつ、線そのものを成り立ちを考えることが、線と物語ることの関係性につながるとは思わなかった。

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