立憲主義について 成立過程と現代 (放送大学叢書) の感想

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参照データ

タイトル立憲主義について 成立過程と現代 (放送大学叢書)
発売日2015-04-09
製作者佐藤 幸治
販売元左右社
JANコード9784865281132
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 法律 » 憲法

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本書は、憲法学の泰斗である著者が、立憲主義の成立過程を説いた1冊である。
わずか263ページの本に226もの註が付されているなど、内外の多くの文献を渉猟し研究した上で記された、著者の立憲主義に関する研究の集大成といってよいと思う。

内容としては、まず、第1章において、現代の憲法(立憲主義)の典型的な姿として、4つの特徴が示されている(本書15頁)。
また、立憲主義とは、これらの特徴を備えた憲法を土台として国を運営する方法をとることをいう、と定義されている(本書16頁)。
そして、なぜこのように言えるのかについて、第3章以下で解説されている。

新書レベルでは、立憲主義についてはマグナ・カルタあたりから解説されるケースが散見されるが、本書では、古代ギリシャ・ローマまで遡り解説されている。
すなわち、古典的立憲主義から丁寧に説き起こし、以下、中世立憲主義、近代立憲主義、そして現代立憲主義へと連なる流れ、また、ナチズムやファシズムなどの全体主義により立憲主義が蹂躙され、さらにその後、立憲主義が再定位されていく過程も描かれている。

加えて本書では、日本における立憲主義の展開についても紙幅を割いて解説している。
まず、本書142頁以下において、明治憲法と立憲主義との関係について解説がなされ、また、第6章において、日本国憲法と立憲主義との関係が解説されている。
そして、様々な検討を加えてきた結論として、著者は、日本国憲法と立憲主義について次のように結論付けている。
「日本国憲法は、人類の長い経験と叡智の蓄積の表象である立憲主義の展開の現代の到達点というべきものを具現していることを、明確に認識し理解すべきであるということである。」(本書225頁)
その上で、著者は次のように言う。
「最後に、付け加えておきたいことがある。筆者は、憲法の定める個別的事項について修正を加えていく必要があることを示唆したが、しかしながら、憲法の本体・根幹を安易に揺るがすようなことはしないという賢慮が必要であると強く思う。」(本書228頁)
著者が、立憲主義の危機を感じていることがひしひしと伝わってくる。

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