人間集団における人望の研究―二人以上の部下を持つ人のために (ノン・ポシェット) の感想

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参照データ

タイトル人間集団における人望の研究―二人以上の部下を持つ人のために (ノン・ポシェット)
発売日販売日未定
製作者山本 七平
販売元祥伝社
JANコード9784396310349
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

購入者の感想

 日本では「人望がない」ために,いかに有能でも前途が絶たれます。「人望」が絶対的な評価基準なのです。では,「人望」とはどういった定義で,涵養することが可能なのか。大半の人は明確な考えを持ち合わせておらず,それでいて相手の「人望」の有無は肌で理解でき,その結果,当人は訳がわからないうちに「人望」をなくして社会から確実に葬り去られてしまう,という状況です。本書は「人望」の定義,具体的な項目,その涵養方法について記述しています。
 平等社会でもリーダーは必要ですが。血縁や血統,階級,身分,出自は問題とされず,その選出基準は基本的に「人望」以外ありえないと山本氏は指摘します。その「人望」とは「高次の常識を実践している」ことです。教育の3原則は知育・体育,徳育だそうですが,知と体の大学はあっても,徳には授業すらありません。しかし,かつては『近思録』の九徳や『大学』の矩(けっく)の道が常識として厳然と存在し,特に江戸時代は西洋の学問(知)が一般的には禁じられていたため徳育のみでした。「人望」をリーダーの選出基準とするという伝統は無意識に受け継がれているのに「人望」の定義や育成法が欠けてしまったことが現在の状況を生んでいます。
 「人望」を育てる九徳とは,(1)寛大だがしまりがある,(2)柔和だがことが処理できる,(3)まじめだが丁寧でつっけんどんでない,(4)事を治める能力があるが慎み深い,(5)おとなしいが内が強い,(6)正直・率直だが,温和,(7)大まかだが,しっかりしている,(8)剛健だが内も充実,(9)剛勇だが義(ただ)しい,です。これらは相反する概念なので,自己抑制によって中庸に留めることが高次の常識であり,それを実践できている人がリーダーとして相応しいということになります。
 全体として,おおまかだが,筋道がしっかりしている,という印象を持った良書です。

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