必殺の用心棒 マカロニ・ウエスタン MWX-008 [DVD] の感想

監督、主演俳優ともに知名度はいまいちながら、主人公のキャラクターやストーリーの面白さで隠れた傑作となっているマカロニ・ウエスタン。マカロニファンには「シュガー・コルト」の方が通りが良いかもしれない。

マカロニ・ウエスタン数あれど、100人もの兵士が失踪するというミステリー趣向(もちろん謎解きなどは無い)が珍しい作品で、口も達者な元スパイというシュガー・コルトのキャラクターが悪くない。と考えたら、本作は要するにマカロニ・ウエスタン007風味だったんだと納得。そういや、一件落着したエピローグにも女が絡んでるものなぁ(キスシーンやベッドシーンは無いけどね)。

女ったらしの軽い奴、その実は凄腕のエージェント…これってどう考えてもジェームズ・ボンドだよなぁと思いながら観ていたら、Allcinema Onlineの解説にもそう書かれていた。皆考える事は同じだ。確かにこの時期、「007」シリーズが大ヒットして、世界中で亜流作品が作られていた。もちろん日本でも。

本作、100人の北軍狙撃兵が誘拐されるという発想がまず面白い。しかも身代金誘拐。そんなマカロニ・ウエスタン、他に見た事が無い。また、主人公のシュガー・コルトは医者に変装してスネーク・バレーにやって来るのだが、そのキャラクターのとぼけた味わいが楽しい。この前半があるから、後半のシュガー・コルトという(それなりにスタンダードな)凄腕ガンマンとして活躍するシーンが際立つのだ。

ヒロインを演じたソルダード・ミランダは、本作に出演した数年後に27歳の若さで亡くなっている。可愛らしい女優なので、もっと色々な映画で観てみたかった気がする。北軍狙撃兵の中に「荒野の1ドル銀貨」で主人公の弟を演じたニック・アンダーソンことナッツァレーノ・ザンペルラが混ざっているのも、ちょっとした見所。