断絶の都市センダイ ブラック国家・日本の縮図 の感想
参照データ
タイトル | 断絶の都市センダイ ブラック国家・日本の縮図 |
発売日 | 2014-05-20 |
製作者 | 今野晴貴 |
販売元 | 朝日新聞出版 |
JANコード | 9784022511799 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般 |
購入者の感想
東京に住んでいると、東北復興の話はニュースでしか伝わらないことが多い。また知人の会社の支社で求人をしたところ、人が集まらないのは見舞金で喰えるから、という噂も聞いた。いったい本当のところはどうなのか?
本書は復興ボランティア活動を続けるNPOの方が書いた、現地レポートである。病人を抱えたり、子どもがいて、長時間働けない方がいる。避難先に交通機関が無く、病院に通えない方がいる。行政の通知を知らず、見舞金ももらえない方がいる。求人はあっても「ブラック企業」であり、働いても食べていけない給料しかもらえない場合がある。
震災当時、我慢強い日本人、抑制のとれた行動、は世界から称賛された。多額の寄付金が集まり、予算も組まれた。有名人が現地でイベントを開き、「絆」が強調された。
これらも一面の真実だが、思ったより「本当に困っている人」には届いていない(ここに書いてある例が極端なものなのか、割合としてどのくらいなのかはわからないが)。すぐに家を建て替えたのは元々余裕のある人である。
復興大臣の愚行を冷静に反して賞賛された宮城県知事は、本書では病人に対する補助を打ち切る冷徹の人として描かれる。
著者が喝破したのは、日本は「開発経済型」復興」あり、「福祉型」復興ではない、という点。すなわち補助金で巨大防潮堤や建物を作り、そこで雇用を作り出し、経済を活性化させる。しかしこれでは原子力発電所を過疎地に建てるのと発想の根幹は同じように思える。
「絆」を強調する一面、「求人はあるのに働かない」と本当に困っている人を責めるのは、日本人の悪い面ではないか。
ジャーナリストの文章と違い、生硬なところもあるが、被災地の今を伝える貴重な本である。
本書は復興ボランティア活動を続けるNPOの方が書いた、現地レポートである。病人を抱えたり、子どもがいて、長時間働けない方がいる。避難先に交通機関が無く、病院に通えない方がいる。行政の通知を知らず、見舞金ももらえない方がいる。求人はあっても「ブラック企業」であり、働いても食べていけない給料しかもらえない場合がある。
震災当時、我慢強い日本人、抑制のとれた行動、は世界から称賛された。多額の寄付金が集まり、予算も組まれた。有名人が現地でイベントを開き、「絆」が強調された。
これらも一面の真実だが、思ったより「本当に困っている人」には届いていない(ここに書いてある例が極端なものなのか、割合としてどのくらいなのかはわからないが)。すぐに家を建て替えたのは元々余裕のある人である。
復興大臣の愚行を冷静に反して賞賛された宮城県知事は、本書では病人に対する補助を打ち切る冷徹の人として描かれる。
著者が喝破したのは、日本は「開発経済型」復興」あり、「福祉型」復興ではない、という点。すなわち補助金で巨大防潮堤や建物を作り、そこで雇用を作り出し、経済を活性化させる。しかしこれでは原子力発電所を過疎地に建てるのと発想の根幹は同じように思える。
「絆」を強調する一面、「求人はあるのに働かない」と本当に困っている人を責めるのは、日本人の悪い面ではないか。
ジャーナリストの文章と違い、生硬なところもあるが、被災地の今を伝える貴重な本である。