JAL再建の真実 (講談社現代新書) の感想

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参照データ

タイトルJAL再建の真実 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者町田 徹
販売元講談社
JANコード9784062881760
カテゴリビジネス・経済 » 産業研究 » 交通 » 空運

購入者の感想

本書は「JAL再建の真実」となっていますが、全4章の中で、経営破綻後の再建のプロセスに焦点を当てているのは最後の章のみ。
つまり、実質的には「経営破綻に至るまでのプロセスとその原因」を論説した内容であるといえる。

その「誤解を与えかねないタイトル」には疑問を覚えるが、内容自体は極めておもしろかった。
なぜ、JALは法的整理に至ったのか、過去の歴史を丁寧に紐解くことによって、その本質的原因をクリアに理解できるからである。
そこには人間ドラマがあり、過去の因果があり、政治ゲームがあった。

その重要なアクターの一人である、西松元社長のドラマは、本当に哀しい。
「頑固一徹の経理部長」であり、簿外負債を抱えることのリスクを十分に知りながら、その魔術に手を染めなくなる過程。
不得手なトップマネジメントで会社に貢献しようと努力した結果、顧客を失うという致命的な失敗。
強い危機意識を持ちながらも、最後まで「JALらしい官僚的思考」から脱却できないという現実。
「もがけばもがくほど」という泥沼ドラマの典型であり、JALの歴史とは、その繰り返しだったのではないかとさえ思える。

ファイナンスの観点から、「なぜJALは破綻してしまったのか」という全体像を知りたい人には、ぜひオススメしたい。

戦後最大の破綻となりながら最短期間で再上場を果たすJAL。
しかし本書が語るのは、JAL復活への賞賛などでは決してない。
ナショナル・フラグ・キャリアたる親方日の丸の大企業が、どのようにして
自らの企業価値を毀損し、また暗愚な政党・政治家達の権力ゲームの道具とされ
破綻したか、そして破綻後V字回復の実態は何か等を、冷静な財務分析と綿密な
取材に基づいて語る、興味深いレポートである。

記載の分量は少ないが、政府による特定企業の救済とそれがもたらす「V字回復」が、
公正な競争環境を歪めている事実も指摘され、この点も印象深かった。

多額の血税と債権者・株主の多大なる犠牲のもとに復活するJALの今後の行く末に、
本書は強い関心を呼び覚ます。

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