サンダカン八番娼館 (文春文庫 147-1) の感想

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参照データ

タイトルサンダカン八番娼館 (文春文庫 147-1)
発売日2012-09-20
製作者山崎 朋子
販売元文藝春秋
JANコード9784167147082
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

古い本である。しかし、有名な本である。1975年に文庫化された本書は、研究者の筆によるものであり、1973年大宅壮一ノンフィクション賞の受賞作品である。私が読んだものは、1975年7月発行の第2刷版であった。
サンダカンは、現在のマレーシアのサバ州の都市で、ボルネオ島に位置する。本書は、戦前、サンダカンで暮らしていたからゆきさん、つまり、日本人海外売春婦に焦点を当てて、当時の日本の「底辺女性」を分析したものである。
本書は、九州天草から話がはじまる。天草は、日本の多くのからゆきさん、つまり戦前の日本人海外売春婦を多数輩出した土地であった。からゆきさんとして日本を出国しなければいけなかった状況、サンダカンでの仕事と私生活、からゆきさんの戦後日本での生活などが本書では描写されている。
サンダカンでは、日本人売春婦が商売の対象としていたのは、西洋人や日本人、中国人だけではなく、現地人の場合もあった。現地人を「客」としてとらない日本人売春婦がいる一方、本書の前半の主人公「おサキさん」は人種偏見がなく、誰でも客としていたという。その経験からの感想が面白かった。客としては、現地人が一番あっさりしていた、次いで英国人とメリケン(米国人)であり、次にあれはながいが中国人、一番いやらしかったのが日本人、という感想である。
 女郎屋で働いていたからゆきさんが子供を身ごもって出産しても、子供を女郎屋で育てられないため、女郎屋から離れた土地の知人に子供を預けて、育ててもらっていた人もいた。働いている際、見初められ、現地人や日本人と一緒に暮らし始める者もいた。
当時は、女衒に騙されて海外に連れていかれた女性も多かった。すなわち人身売買である。それらの女性たちは、異国の地で売春を強要されていた。異国への行き方は、密航である。そして、密航中の船の中で女性たちが死んでしまう事件も起こっていた。
東南アジアには幾つもの日本人墓地が戦前から存在した。それらを見て回った者の記録よれば、墓地に葬られた故人の70%から80%がからゆきさんの墓であるという。

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