入門 人間の安全保障 - 恐怖と欠乏からの自由を求めて (中公新書) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル入門 人間の安全保障 - 恐怖と欠乏からの自由を求めて (中公新書)
発売日販売日未定
製作者長 有紀枝
販売元中央公論新社
JANコード9784121021953
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

このグローバル化した社会で本当に必要な理論とデータがうれしいです。

 安全保障といえば、普通は国家の安全保障を思い浮かべる。外交の言葉として「人間の安全保障」が使われるようになってどのくらいたつだろう。国連開発計画(UNDP)が1994年に提唱した概念という。本書は、国民国家の成立過程から、国際法の発展、国連など国際機関の成立と大きな世界の枠組みを詳述してゆく。国家によっては救済されない一人一人を救うということが人間の安全保障だと説く。だが、国家との関係でもやもや感も残る。「人間の安全保障」は、国家と敵対する概念でも、単純な補完関係でもないのだろう。国家という枠組みが近い将来、大きく変わることは想像しにくい。その国際環境下で破綻国家がまともな国家に成長してゆく支援をすることも大きな目標となるはずだ。その間隙を縫って一人一人に支援の手を差し伸べる試み、それが「人間の安全保障」なのだろう。「人間の安全保障」というと圧政に苦しむ発展途上国の人々の問題と思いがちだ。著者は、一見、安全・自由が確保されていると思われている先進国においても重要な概念だと主張する。その一例として東日本大震災の問題に一章を割いている。大震災で被災した障がい者、女性など弱者の「人間の安全保障」が危険にさらされているという指摘は、現状を再考する上で有益だろう。「人間の安全保障」が将来、単なる学術上の言葉に終わるのか、国際社会で意味のある言葉に成長してゆくのか。著者が長年、人道支援の現場で、見て、感じた経験が随所にちりばめられている。心が動かされること、それが第一義的な行動の動機となるのだろう。本書からは感情に流されない、プロの冷静さと心の温かさと感じ取ることができる。人道支援活動の目的そのものが「人間の安全保障」の確保にあるといっても過言でない。その意味においてNGO、NPOや国際機関を目指す人に最適の入門書ともなっている。国際社会の仕組みに関心を持つ人に読んでほしい。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

入門 人間の安全保障 - 恐怖と欠乏からの自由を求めて (中公新書)

アマゾンで購入する
中央公論新社から発売された長 有紀枝の入門 人間の安全保障 - 恐怖と欠乏からの自由を求めて (中公新書)(JAN:9784121021953)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.