枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い (朝日選書) の感想

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参照データ

タイトル枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い (朝日選書)
発売日2017-04-10
製作者山本淳子
販売元朝日新聞出版
JANコード9784022630575
カテゴリ古典 » 日本の古典 » 古代・中世文学 » 日記・随筆

購入者の感想

清少納言は、鋭い観察眼と巧みな表現力に恵まれた平安時代の随筆家だと単純に思い込んでいたが、『枕草子のたくらみ――「春はあけぼの」に秘められた思い』(山本淳子著、朝日選書)によって、彼女が『枕草子』を書いた本当の理由を知ることができた。

後宮の女房としては清少納言の12年後輩に当たる紫式部は、『紫式部日記』の中で、『枕草子』は無理に個性に走った作品であり、作者が風流ぶるあまり、現実を無視して殊更に風流ばかりを拾い集めて書いたものだ、と強く批判している。「清少納言の周辺に起こった何か過酷な事情を、同じ時代を生きた紫式部は知っていた、そして彼女の常識で判断する限り、その過酷さは、風流だの趣だのの入り込む隙などない絶望的なものであった。だが、そこにおいて清少納言は、紫式部が指摘したとおりに、美や光や笑い、感動やときめきばかりを書いた。彼女の性格のなせるものという見方もあろう。実際に、無意識による部分もあるだろう。だがそれだけではない。これは清少納言がはっきりと意識的に採った企て、いや紫式部の側からすればたくらみだった」。

「清少納言は正暦4(993)年から一条天皇の中宮定子のもとに仕え、やがて『枕草子』の執筆を始めた。紫式部が知っていた過酷な背景は、この定子に関わる。定子は、一条天皇の最愛の后であるとともに、悲劇の后だったのである」。

990年、時の最高権力者・藤原道隆の娘・定子は、14歳で一条天皇の中宮となる。一条天皇より3歳年上の彼女は明るく知的で、どちらかと言えば内気で学問好きな天皇の心を捉える。この時、定子と中関白家(なかのかんぱくけ。道隆の家)は栄華の極みにあったのである。

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