アウトサイダー・アート (光文社新書) の感想

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参照データ

タイトルアウトサイダー・アート (光文社新書)
発売日販売日未定
製作者服部 正
販売元光文社
JANコード9784334032142
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究

購入者の感想

障がい者による芸術のためのミュージアムを国が構想しているという。そのこと自体は悪いことではないし反対する人も少ないだろう。そのためのキーワードになっているのが「アール・ブリュット」というフランス語。本書で述べられているように、仏画家ジャン・デュビュッフェが使い始めたもので、「生(なま)の芸術」と訳されることもある。ただし、彼がこの語を使い始めたとき、それは障がい者による芸術制作の一部を含んではいても、それに限定されるものではなかった。また福祉や教育を目的とするものでもない。じっさいデュビュッフェの「アール・ブリュット」コレクションには宗教家による作品なども含まれている。作者の属性(障がい者であるとか宗教家であるとかいった)と無関係ではないにせよ、その属性を十分条件とするものではないのだ。それはむしろ、既存の芸術的教養・訓練の外で生まれた或る種の質を指していた。その概念をより普遍化したものが、本書のタイトルともなっている「アウトサイダー・アート」だと考えられる。その作品の質とは、まちがいなく独自のものなのだが、「独自性(オリジナリティ)」という言葉を使うより、前にも後にも継承関係をもたないような「単独性」という言葉がふさわしいもので、そのオーラを強烈に放っているという(ちなみにオリジナリティーならば、継承されることも多いだろう)。しかもそれは当人にとって表現せずにはいられないものだったのだ。「表現せずにはいられない」というこの言葉は、さまざまな芸術作品を形容するために使われてきた近代美学のクリシェだが、ほとんどの場合は、名誉欲や金銭欲などと綯い交ぜになっていた(そのことは別に悪いことではない)。しかしアウトサイダー・アートにおいてはそれが文字通り成り立っているように思われる――そういう質を備えているということである。要するに、鑑賞者からすれば、近代芸術を理解する際の評価の目盛りをふりきったところにあるといえるのだが、べつに作者がそのことをめざしたわけではない。そういう意味で、既成芸術の枠の外にあるものであり、また福祉の枠の外にあるものなのだ。これを、既成芸術や福祉の枠に囲いこんでしまうことのないようにしたいという願いが本書の最大のメッセージであろう。

アウトサイダーアートって何という説明が少々、それが、どのような人たちの、どんな尽力で確立していったか?という歴史・人物の紹介、そして作品紹介からなります。歴史・人物の紹介が、半分ぐらいを占めてます。カラーの口絵も少々あり、絵画やオブジェそのものも、ある程度鑑賞できるようになってます。白黒のものもあり、「カラーでみたい!」ものも、かなり、ありました。美術館に来いということでしょうか?
筆者が、美術館員さんのためか、初心者にも、やさしく丁寧に説明してくれる本でした。専門用語もなく、読みやすい本でした。

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