ワールド・フィギュアスケート 72 の感想

羽生選手の記事は巻頭16ページで綴込みポスター付き、写真はとても美しく、少ない枚数でも十分満足できました。特に見開きのバラード1番とハイドロのシーンが大迫力で見応えがあります。
そしてやはり記事が良いです。特に羽生選手のNHK杯のテキストは、実施された主要な技の詳細とその出来映えが演技中の様子と共に順に記述されているので、まるで試合を見ているような臨場感を感じました。試合前後の羽生選手の発言も何回読んでも感慨深い。一番心に残っているのがNHK杯後の、要約すると「いままでの経験は無駄じゃなかった」という言葉です。応援し続けてきた選手がこのような心境に至ったことは本当にファンとして感無量です。
インタビューは羽生選手はNHK杯とグランプリファイナル後のもの、宮原、宇野、村上、チャン選手はファイナルフリー後のインタビュー、NHK杯後の宮原、浅田、無良、ボーヤン選手、その他外国人選手のインタビューが掲載されています。
記者会見もファイナル、NHK杯とも男女シングル、アイスダンス、ペア全て一問一答詳細に記述されているので、試合後の選手達の心境が良く分かります。特に羽生選手のNHK杯後の記者会見は発言が延々と続き、興奮状態が伝わってきます。
ジャッジの加藤真弓氏の記事は、羽生選手が高得点を得られた理由にふれつつ、採点の際それぞれのエレメントにおいて重視されるポイントや、演技構成点で10点満点を出す場合についてなどが語られ、興味深い内容でした。羽生選手のNHK杯フリーの採点後に拍手をしていたジャッジがいたこと、試合後のミーティングで最後に羽生選手の素晴らしいフリーを見ようという話になり、鑑賞後に拍手が起こったというエピソードも良かったです。羽生選手の演技に今後望むこととしては、スピンの速さと回転力とありましたが、これは多分一部のスピンのことを言っているのかな、と思いました。羽生選手のスピンは今でも十分素晴らしいと思えるので。ジャンプでは軸が斜めにならないこと、4回転ループが入るとなお良い、といった内容でしたが、ジャッジという立ち場であまり軽々しく煽らないでもらいたいと少し思ってしまいました。
ジュニアグランプリファイナルの記事と選手インタビューも載っているので、本当に大会全体が網羅されている躍動感を感じる構成だと思います。