あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫) の感想

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参照データ

タイトルあきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)
発売日2016-02-12
製作者髙田郁
販売元角川春樹事務所
JANコード9784758439817
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

購入者の感想

「みをつくし」に続く待望のシリーズ刊行です。でも「みをつくし」と比較する必要はありません。幸<澪ではないし、幸>澪ではないし、幸=澪でもありません。幸≠澪なのです。全く別の実に魅力的な主人公が颯爽と登場しました。髙田郁はまたひとまわり大きくなって、新境地を拓いてくれました。そして読者はそこに紡ぎ出された壮大な世界に浸ることができます。

「ひととひと、家と家、店と店、それに町とそこに住むひとら。面倒臭いように思うても、関わりを大事に、その土地に根ぇ張って生きるんが、大坂の商家だすのやで」。治兵衛のこの言葉は、商いのみならず、人の生き方全般に通じることではないでしょうか。

幸が一生鍋の底を磨いて終わる女の子ではないことを、読者はすぐに確信します。幸はこの先の人生でいろいろ迂回するでしょう。でもその間の苦労は無駄にはなりません。もしや智蔵と再会するのでは? そしてしっかりと自分の足で立てる幸は智蔵を支えてあげるのでは、と密かに期待しています。

優しいお家さん富久、兄弟の激しい対立、ご寮さん菊栄との別離など、物語は怒涛のように進みます。次巻を早く読みたくてたまりません。

この作品のもう一つの読みどころは、江戸時代の知識をふんだんに得られること。治兵衛が手形について語る場面――「その店の暖簾に対しての信用だす」は、単なる紙が金銀の価値に相当する意味を明瞭に説明してくれます。江戸時代の経済も詳しく教えてくれる一方で、風俗習慣もよくわかります。商家の食事、使用人のありかた、婚礼のきらびやかさ、着物の美しさなど、目に浮かんでくるようです。

読んでいる間、私は自分も五鈴屋の女衆となって、働いているような気がしました。本当に素敵な「源流篇」だす。

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