ハイデガー『存在と時間』入門 (講談社現代新書) の感想

巷間に溢れたハイデガー関連の解説書において白眉とも言える書物。『存在と時間』における「存在の問い」に論点を絞り、努めて平易なことばでその思想の核心を解き明かしているだけではなく、これが著された時代的背景までも丁寧に論述されている。ハイデガーの影響下にある哲学者の著作を読み進める上で、『存在と時間』は避けては通れない道であり、その入門書の決定版とも言える本書により、他の哲学者に対する理解の端緒を開くことが出来るのではないだろうか。