大学教育について (岩波文庫) の感想

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タイトル大学教育について (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者J.S.ミル
販売元岩波書店
JANコード9784003910115
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

本書は国立大学の文学部を廃止しろと言っている現政権の指導者連中には必読本であろう(と言っても読むような知性はないか)。彼らにとって科学技術重視で、英語が使えて、外国人とやりとりができる「グローバル人材」育成の専門学校が理想の大学であるようだ。

そこには本書に書かれている「個人の精神の発達と民族の福祉に貢献」「人間性を強化、高揚、純化、洗練するという人類共通の目的に到達」「人間が一生を通じてなすべき仕事に必要な精神的道具を供給」などという崇高な目的、哲学はない。単に役に立たないなら止めてしまおうという実用主義に他なるまい。大学は教養教育を行う場。知識を植付ける場ではなく、知識を吟味し知識の哲学を行う場。「自然科学は大切だが、人文科学は大切ではない」なんて考えはまさに19世紀のミルの時代の議論であり、ミルが言うとおり「両方大切」なのは当たり前である。わが国の指導者連中は愚者であるが、国民までをも愚者にしたいみたいである。

私たちが人文、自然科学を問わず学び続ける理由はなにか?
それは最後の「結び」にある「諸君が人生に対してますます深く、ますます多種多様な興味を感ずるようになる」ということばにその理由があろう。
人が進歩、発展する上で好奇心はなくてはならない。その好奇心を生む精神を育むこと。それこそが大学が行うこと。「役に立たない」と熟考、熟慮もなく結論付け、文学部を廃止しようなんて考えは教養人からは決して出てこないであろう。

本書を読み、再び現政権の行おうとしている愚挙に対して不快感が強くなった。

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