社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫) の感想

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タイトル社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫)
発売日2013-12-20
製作者ルソー
販売元光文社
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購入者の感想

近代民主主義の基本原理を確立した書物。訳者の言うように、本書は、世界を「動かした」10冊の書物に含まれるだろう(p572)。たとえば冒頭の議論、戦勝国は敗戦国の国民を奴隷にする「権利」があると述べたグロティウスに反論して、暴力による支配は正当な権威とは無縁であり、「合意によるものだけが正当な権威を成立させる」(p27)というルソーの筆致は、今読んでもみずみずしい。55年にわたって読み継がれてきた旧訳(桑原武夫他訳、岩波文庫)も、読みやすい名訳であったが、新訳は、この半世紀間の理解の進展を踏まえている。一箇所比べてみよう。「[国の構成員は]個々には、主権に参加するものとしては「市民Citoyens」、国家の法律に服従するものとしては「臣民Sujets」と呼ばれる」(旧訳p31)。「構成員は、主権に参加する者としては市民(シトワヤン)と呼ばれ、国家の法律にしたがう者としては国民(シュジェ)と呼ばれる」(新訳p42)。「Sujet」という語は、もともとは王の「臣下」を意味するので、旧訳はすべて「臣民」」と訳しているが、ルソーにおいては、選挙で選ばれた代表による議会で制定された法律に従う人間だから、王に従う「臣民」よりは、国の法律に従う「国民」の方が適訳だろう。「ジュネーヴ草稿」と題された『社会契約論』初稿が、全訳収録されているのも嬉しい。フランスでは両方入っているのが普通だから。

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