正義の偽装(新潮新書) の感想

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タイトル正義の偽装(新潮新書)
発売日2014-07-18
製作者佐伯 啓思
販売元新潮社
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

日本の社会問題を論じた本。扱われてるテーマは「空気(雰囲気)の支配」「民意」「領土問題」「憲法」「主権」「天皇制」「経済学」など。

著者は経済学部の学生時代に数学を勉強していた。そのためか文章が論理的であり、(内容が深い割には)分かりやすい。歴史的な記述が多いので一見したところ古くさい話ばかりしているよう見える。だがこれは、「あらゆる概念の根源にさかのぼることで本質を吟味する」という著者の姿勢のためだ。そもそも歴史を踏まえなければ、本質的な議論をすることも「新しい」方向を志向することもできない。本書は、遠回りに見えるスタイルのため読者に根気を要するが、本質を掴んでいるため過激に見える主張も説得力を備えている。

私の作った各章の要約を、以下に記します。

・第一章 人々は「政治家が悪い」「官僚はダメだ」などと言うが、根本的な問題は日本人全体が劣化していることだ。その背景には、戦後の基軸価値「自由」「民主主義」「物的富の獲得」が人々の利己心に拍車をかけたことがある。これらは、「本当は」日本人の精神ではない。

・第二章 日本は戦前も今も「空気」つまり雰囲気に流される国である。戦前は「天皇」、戦後は「国民・世界」などを語って自らを権威化する輩が大勢いるのだ。判断の軸が己ではなく「状況」にあるため、ある行為の責任はその当事者に帰属しない。要するに、みんな無責任なのだ。

・第三章 日本人が好む「ミンイを実現せよ」という表現は、大抵「わたしの気分を実現せよ」に正義の偽装を施したものにすぎない。日本で民主主義の最大古典とされるルソーの『社会契約論』における「一般意思(「共同防衛」と「憲法制定」を軸とする概念)」は、戦後日本で「民意」という全く異質なものに置換された。そもそもルソーの唱える民主主義は容易に全体主義になる危険性をはらむことを含めて、日本人はルソーをよく理解できていない。

・第四章 領土問題は非常事態に発展する可能性がある。しかし日本国憲法は(通常の憲法とは異なり)非常事態が明記されていない。非常事態になると、「主権という絶対権力」と「最高の規範である憲法」との矛盾が極限に露呈する。

・第五章

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