奪還―引き裂かれた二十四年 の感想

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タイトル奪還―引き裂かれた二十四年
発売日販売日未定
製作者蓮池 透
販売元新潮社
JANコード9784104599011
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

突如として家族のひとりが失踪する。理由の見当もつかない。警察も頼りにならず、
あらゆる心当たりを訪ね歩くが実りはない。悲嘆に暮れる家族とただ流れる歳月。
暗闇の中で名を呼び続けるが、返ってくる声はない。弟よ、お前はどこにいるのか?

国民のすべてが被害にあう可能性があった北朝鮮による拉致。被害者家族の苦悩が
本書の随所に滲んでいる。あらためて卑劣な犯罪に怒りを禁じ得ない。だが弟の
失踪が、北朝鮮の犯行であると確信してからの兄透氏の憤激は北朝鮮だけではなく、
味方であるはずの母国日本にも向かうことになる。政治家も警察も外務省も法務省も
マスコミも、誰一人この問題に立ち向かおうとしない。無視、冷淡な反応、様々な
妨害と嘲笑。日本の病弊にもっとも絶望した人たちが拉致被害者家族であったと云える。
だからこそ彼は「無法国家北朝鮮に無能国家日本」と自嘲を込めて嘆くのだ。

本書には、帰国した弟の変貌への困惑から、彼との格闘が生々しく描かれ、そして
新しい生活へと臨む弟夫婦への暖かいまなざしに溢れている。また文庫化に当たって、
その後の弟夫婦と蓮池家について加筆されている。まだ闘いは終わっていない。

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