電力改革―エネルギー政策の歴史的大転換 (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | 電力改革―エネルギー政策の歴史的大転換 (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 橘川 武郎 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062881456 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 一般 |
購入者の感想
非常に読みやすくて、スラスラと読める。ただそれは文章や文字量の問題ではなくて、著者の主張が極めて中庸で、ある意味、常識的なものだからだろう。「さほど目新しいことがない」というレビューもあるが、最近の原発関連の書籍や報道が、とかくセンセーショナリズムを追求するあまり、客観性の乏しい「新事実」や実現性の低い「新提案」に走りがちな中では、むしろ本書のように、一見「目新しさ」のない書籍の方が貴重だと感じる。今の私たちに必要なのは、今後の電力供給のあり方を、自分自身の責任において選び取ることであり、そのためには、まずは「当たり前の事実」や「当たり前の判断」を積み重ねた上で何が出来るのか、どこに向かうべきかを、真剣に考えることから始めるべきだと考えるからだ。現在の困難な状況の解決を「意外な新事実」や「思いがけない新発見」に頼るのでは結局、かつて「夢のエネルギー」に期待して失敗したのと同じ間違いを犯すことになる。
だから逆に本書は、「原発をもっと増やすべきだ。」とか、逆に「原発はすぐに全廃すべきだ。」などと言う、無責任な極論を求める人たちには、どちらからも受け容れられないのではないかとも思う。さらに、「いつかどこかにこの苦境を救ってくれる“一発逆転満塁ホームラン”のような解決策があるのでは?」と期待するような夢想家にも喜ばれないだろう。著者自身が書くように、本書で語られるのはどこまでも「リアルでポジティブ」な、エネルギー政策の行く末だ。そしてあくまでも「リアル」であろうとすることには、些かの退屈を我慢する忍耐力が求められるのである。
だから逆に本書は、「原発をもっと増やすべきだ。」とか、逆に「原発はすぐに全廃すべきだ。」などと言う、無責任な極論を求める人たちには、どちらからも受け容れられないのではないかとも思う。さらに、「いつかどこかにこの苦境を救ってくれる“一発逆転満塁ホームラン”のような解決策があるのでは?」と期待するような夢想家にも喜ばれないだろう。著者自身が書くように、本書で語られるのはどこまでも「リアルでポジティブ」な、エネルギー政策の行く末だ。そしてあくまでも「リアル」であろうとすることには、些かの退屈を我慢する忍耐力が求められるのである。